住宅関連新聞記事ダイジェスト No.372  2011/2/17~2011/2/23

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.372  2011/2/17~2011/2/23 Vol.1
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【日本経済新聞】

1  カネカ、5色の有機EL照明発売

2  スマートグリット/スマートハウス/スマートシティー

3  解散に向けた総会開催請求を却下、FCレジデンシャル投資法人

4  三菱地所が平和不動産の筆頭株主に、兜町再開発など共同で推進

【朝日新聞】

5  10年のマンション発売、5年ぶり増 都市部のみ伸長

【読売新聞】

6  古民家活用広がる はりや柱→インテリア、建材に

7  マンション発売5年ぶり増

8  建物改修 発想チェンジ

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1  カネカ、5色の有機EL照明発売 日本経済新聞  2011/2/17

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カネカは15日、白、赤、青、緑、オレンジの色に光る5種類の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)照明パネルの販売を始めると発表した。同パネルを多色展開するのはカネカが世界で初めて。国内で3月22日、欧州では4月中旬にも発売する。外食店舗やホテル、高級住宅などでの利用を見込む。2015年までにパネルの生産能力を現在の10倍となる10万平方メートルに増強する計画だ。

価格は100平方センチメートルで2万円前後になるもよう。現在、他社が販売するパネルは3万円以上の製品が多いという。15年度に国内外で200億円の売り上げを目指す。

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2  スマートグリット/スマートハウス/スマートシティー  2011/2/23 日本経済新聞系

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スマートグリッドとは、従来の送電網にITを組み込み、電力を制御することで効率よく供給する仕組みのことである。米国発の概念であり、「次世代送電網」と訳される。事務所や家庭にスマートメーター(通信機能などを持つ電気メーター)を取り付け、メーターごとの電力使用状況を計測できるようにする。これにより、電力会社は検針を無人化してコストを削減できる。

さらに、無線通信などによって、事務所や家庭で使われている家電などの電力使用量を把握したり、制御したりすることもできる。加えて、ソーラーパネルなどの自家発電施設の発電量のデータを電力会社へ送信できるようにすれば、電力会社では電力に関するすべての情報をコントロール可能となる。このようにしてスマートグリッドは、ITによって無駄な電力の使用を減らして省エネにつなげることができ、結果として電気料金も安くなるとされている。

今後、環境対策の一環として太陽光発電や風力発電を普及させるにあたっても、スマートグリッドは重要である。天候に左右される自然エネルギーによる電力と従来型の電力とを、ITを使って全体最適化できるようになれば、環境への貢献は多大なものとなるからだ。

スマートグリッドの実証実験などの取り組みは、米国、欧州で先行しているが、日本でも電力会社などによる研究や試験導入が始まっている。2011年2月3日の日本経済新聞によると、電力各社では、スマートメーターを2012年度中に全国約100万世帯に設置し、2020年をメドに約5000万世帯に普及させる計画である。

電気料金が安くなるとされているスマートメーターだが、逆に電力会社の設備投資コストが電気料金に反映され、電力料金が上がることも考えられる。このため、ユーザーメリットが見えてこないと、消費者からの反発も予想される。また、データの提供範囲によってはプライバシーにかかわる問題やセキュリテイ対策の必要が出てくる。

将来は、例えばスマートフォン(高機能携帯電話)に電力消費状況を知らせて、電力需要の余裕時に掃除機や洗濯機を使った場合に電気料金を割り引くといったサービスへとつなげることも考えられる。2011年1月24日のNHKクローズアップ現代(「飛び出せ、『異能』!~日本の閉塞感を打ち破れ~」)では、消費電力の測定装置と無線機能を持ち、携帯電話などから電源のオン・オフができる「節電ソケット」を紹介していた。このように電力量値の計測と連動して家電をリモートコントロールできる技術は実用化されつつある。スマートメーターを使った、新しい価値を持つビジネスモデルの創造が期待される。

低炭素型住宅「スマートハウス」の研究開発も進められている。その中核技術がHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)である。家電や情報機器などから有線や無線でデータを収集し、電力使用状況を把握して家電などを自動制御し、省エネ運転を行うものである。さらに、太陽光発電システムや蓄電池などと組み合わせてCO2排出量の大幅削減を図る。太陽光発電で生み出した電力を家庭用蓄電池に蓄電し、電気自動車に充電することも、スマートグリッドの研究の一環として進められている。

スマートグリッドの考え方によるインフラに基づいた街づくりをスマートシティーという。厳密な定義はないが、都市全体を省エネ型にする考えである。日本のゼネコンでもスマートシティーに関する研究開発が行われている。対象地域の環境分析を行い、太陽光発電や風力発電装置の場所を検討してエネルギー計画を行い、消費電力やCO2排出量が少なくなるように都市計画を行うシステムが開発されている。太陽光や地中熱などの自然エネルギーを調達してエネルギー消費量をゼロにする建物を建設する事業や、電気自動車の駐車場整備など省エネ型のインフラを整備する開発事業が具体的に進められている。

また、日本の民間企業・団体と経済産業省が連携し、官民による協議会「スマートコミュニティ・アライアンス」が活動を行っている。スマートコミュニティー(環境配慮型都市。スマートシティーとほぼ同義)を一貫(設計・調達・運営・管理)して展開する事業の輸出を推進している。

以上がスマートグリッド、スマートハウス、スマートシティーの概要である。消費者のメリットを確実なものとすることに加え、関連する技術の標準化(例えばスマートメーターと家電との通信規格の統一)など課題も多くあるが、環境エネルギー革命ともいえるその取り組みの意義は大きい。建設企業においてはスマートグリッドにおける送電網などの建設、スマートハウスにおいてはHEMSが内蔵された住宅供給など、スマートシティーでは新しい視点での都市の再開発などの新市場が期待できる。

執筆:東建IT研究会

「建設会社の利益に結びつくITの研究及び支援」を目的に、東京建設業協会内に2004年5月14日に設立した研究会。月1回の定例会議で、講習会の企画・開催、意見交換会、調査・研究、教育プログラム策定などの活動を行っている。

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3  解散に向けた総会開催請求を却下、FCレジデンシャル投資法人  2011/2/21 日本経済新聞系

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FCレジデンシャル投資法人は2月18日、投資主の米エスジェイ・セキュリティーズ・エルエルシーが請求していた、解散を議題とする投資主総会を開催しないと発表した。これに反対するいちごアセットマネジメントが、他の投資家と合わせて37.50%の議決権を確保したため。エスジェイは、解散決議に必要な3分の2の賛成票を確保できない見込みになった。

米系ファンドの特別目的会社(SPC)とみられるエスジェイは、2008年7月にプロスペクト・アセット・マネジメントからFCレジデンシャル投資法人の投資口を取得して、筆頭投資主となった。2010年10月末時点の持分割合は23.24%だ。エスジェイは2010年11月24日に、投資法人の解散と物件売却を内容とする投資主総会の開催を要求した。2011年1月21日には、190億円での全物件買い取りを提案している。

一方のいちごアセットは、2010年5月に予定していたFCレジデンシャル投資法人への出資を、エスジェイの差し止め請求により阻止された経緯を持つ。今回はエスジェイの解散請求への対抗措置として、2011年2月7日にJPE Capital Managementから投資口3.82%を1口30万円で追加取得。エスジェイを上回る33.24%の持分を保有することになった。さらに、JPEが手元に残した持分4.26%についても、同社から解散請求への反対意向を取り付け、両社で3分の1を超える議決権を確保した。

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4  三菱地所が平和不動産の筆頭株主に、兜町再開発など共同で推進  2011/2/18 日本経済新聞系

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三菱地所と平和不動産は2月17日、資本業務提携を結んだことを発表した。三菱地所は平和不動産の第三者割当増資を引き受け、持株比率10.5%の筆頭株主となる。両社は、東京・日本橋兜町地区などの大規模再開発事業などに共同で取り組む考えだ。

両社はこれまでにも、東京都新宿区の北新宿や新宿6丁目などの大規模再開発事業に共同で取り組んできた。今後も両社の事業基盤を活かして、平和不動産の本社ビルがある日本橋兜町地区の再開発事業の推進、不動産開発・マネジメントに関するノウハウの相互提供などを進めていく。平和不動産は3月に第三者割当と公募による増資で最大約134億円を調達し、財務基盤を強化する予定だ。

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5  10年のマンション発売、5年ぶり増 都市部のみ伸長  2011/2/22 朝日新聞

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2010年に全国で発売されたマンション戸数が、5年ぶりに前年実績を上回った。不動産経済研究所の調査によると、発売戸数は8万4701戸で、前年に比べて6.4%増。ただ、伸びたのは首都圏、近畿圏、東海・中京圏など大都市だけで、地方では軒並み下回った。

大手不動産会社が大都市での販売を積極的に進めたことが背景にある。発売戸数は、首都圏が全体のほぼ半数の4万4535戸(前年比22.4%増)、近畿圏が2万1716戸(9.8%増)、東海・中京圏は6094戸(8.9%増)だった。

一方で、九州は6012戸(33.0%減)、中国は1979戸(3.4%減)、東北は1446戸(23.9%減)など、地方は不振だった。

価格面では、高額な東京都港区や目黒区などの都市物件が全体を引っ張った。1戸あたりの全国の平均価格は4022万円となり、19年ぶりに4千万円の大台を超えた。

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6  古民家活用広がる はりや柱→インテリア、建材に  2011/2/23 読売新聞

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日本の伝統的な木造建築技術が生かされた古民家を再生したり、再利用したりする活動が千葉県内で本格化している。

社団法人・千葉県古民家再生協会(印西市、高野祐之理事長)が進めているもので、22日、市原市内の推定築約300年の古民家で、はりや柱を建材やインテリアとして再利用するための解体作業を公開した。

市原市皆吉の同市職員、渡辺公夫(ただお)さん(53)方。木造平屋175平方メートルで、増築部分を除く中心部の約90平方メートルは県教育委員会の調査で18世紀初期ごろの建築と推定される。内部には曲がりくねった形状を巧みに生かしたアカマツのはりが約10本。全国で「松食い虫」被害が広がる中、希少な建材だ。

解体作業は、こうした古い建材を20万円で買い取った同協会の秋葉忠夫理事(53)が経営する建設会社が担当。作業員らは、木組みの建材を一つ一つ手作業で外し、クレーンで運びおろした。うち数十本は再利用可能だという。

秋葉さんによると、強度が十分ならば新築住宅のはりなどの構造材として使い、居酒屋やそば屋のインテリア用としても引き合いがある。秋葉さんは「貴重な建材を産業廃棄物にするわけにいかない」と話した。

渡辺家は、地元で17代続く名家だが、今は一家4人暮らし。大きな土間やお勝手など農家特有の間取りは使い勝手が悪く、一昨年2月に父の周一さんが他界したのを機に、建て替えを決意した。しかし、長い歴史の家をただ取り壊すのに忍びず、ネット上で知った同協会に連絡。長女の優さん(20)とともに解体作業を見守った渡辺さんは「自分の生まれ育った家が、どこかで生きてくれたら」と感慨深げだった。

高野理事長と秋葉理事が昨年3月に設立した同協会はこれまで、印西、成田市、大多喜町の古民家3軒を、古い建材や伝統工法を生かしながら新築住宅として再生し、現在も、香取市で推定築150年の古民家の再生に取り組んでいる。秋葉理事は「大工さんらが手作業で家を作っていた家作りは今、工業製品が取って代わっているが、再び人の手に戻したい」と話した。

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7  マンション発売5年ぶり増  2011/2/23 読売新聞

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10年、6.4%増 価格は19年ぶり4000万円超

不動産経済研究所が22日発表した2010年の全国マンション発売戸数は、前年比6・4%(5106戸)増の8万4701戸となり、5年ぶりに増加に転じた。

首都圏でマンションの売れ行きが好調だったが、発売戸数が3年連続で10万戸を割り込み、過去最多だった1994年(18万8343戸)と比べて半分以下の低水準にとどまっている。

また1戸当たりの平均分譲価格は5・8%増の4022万円で、1991年(4488万円)以来19年ぶりに4000万円を上回った。

地域別の発売戸数は、首都圏が22・4%増、近畿圏が9・8%増だったが、それ以外の地域では21・3%減と低迷した。

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8  建物改修 発想チェンジ  2011/2/22 読売新聞

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大阪府内の建築事務所でつくる都市建築設計協同組合「いえしえん」(大阪市中央区)が、あらかじめ入居者を募った上で、既存の建物を希望に応じた設計で改修するという新手法に取り組む。

第一弾として、吹田市内にある社員寮を手がける。今後、老朽化などで利用されない建物が増えると見込まれ、「人口減少時代の新たな手法」として同様の提案を進めていく。

既存の建物を改修して用途を転換する「コンバージョン」に、入居予定者が組合を作り、資金を出し合って建てる「コーポラティブ方式」を組み合わせた。建設費用が節約できるため低価格で、入居者の希望に沿った自由な設計ができ、環境にも優しいという利点がある。

今回、計画している吹田市新芦屋下の物件は、1986年に建てられ、化学メーカーの社員寮として使われてきた。しかし、居住者が減り、同社が売却を検討していたところに、「いえしえん」が今回の手法を持ちかけた。

社員寮は3階建てで、ワンルームを中心に23戸が入居できる。コンクリートの骨組み状態にした後、1階部分を増築し、屋上に庭園を設け、共用部分に太陽光を入れる工夫などを凝らして改修を進める。既存の建物の4割程度がそのまま活用できるという。

7~12戸の入居者のめどが立ち、組合を設立して、3月に土地、建物を購入する予定。部屋の広さは希望に応じて30~300平方メートルまで調整が可能。価格は、1平方メートルあたり、25万~30万円と見込まれる。

「いえしえん」の伴年晶(ばんとしあき)代表理事は「建物は新築して増やす時代から改修して再利用する時代になる。入居者が自分で考え、作り、暮らすことができる喜びを手伝いたい」と話している。問い合わせは「いえしえん」(06・6762・4440)。(鈴木隆弘)

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.372  2011/2/17~2011/2/23 Vol.2
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【読売新聞】

9  【リフォームは今】(下)寿命長持ち 資産を維持

10  【リフォームは今】(中)欠陥に備え業者が保険

11  空き家減へ古民家認定制度

12  【リフォームは今】(上)ホームセンターの安心感

【日経産業新聞】

13  2010年の全国マンション発売戸数、5年ぶりプラス

14  積水化学「百ます計算」教授と二世帯住宅向け内装を共同企画

15  東洋エクステリア、ガレージの屋根を緑化するシステム

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9  【リフォームは今】(下)寿命長持ち 資産を維持  2011/2/21 読売新聞

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国も後押し、コスト高が難点

住宅内部の改修だけでなく、耐久性など基本性能を高めることで「長寿命」を目指すリフォームが注目されている。

東京都練馬区の梶山元之さん(64)は2009年、退職を機に築40年近い木造2階建ての自宅をリフォームすることにした。耐震性の強化のほか、先々のことも考え、車イスでも通りやすいように和室をフローリングの居間に変え、階段の位置も移すなど、大がかりな改修を検討していた。

リフォーム会社からは、基礎部分や壁の内部に防湿の工夫も施して、住宅を長寿命にすることを勧められ、快諾した。梶山さんは「父が木材を遠方まで買いに行くほど、こだわって建てた家。親戚が集まる場所でもあるので、面影を少しでも長く残したかった。丈夫な家であれば資産価値が落ちにくいと思いました」と話す。

長寿命化を勧めたのは、リフォーム会社「オクタ」(さいたま市)。中古住宅を購入し、耐久性を高めるリフォームを希望する消費者向けに、中古物件の仲介とリフォームをセットにした事業も始めている。社長の山本拓己さんは「若い世代を中心に要望が増えている」と話す。

国は、建て替えを繰り返すより、耐久性の高い住宅を建てたり、リフォームしたりして、長く住み続けられる住宅を増やす取り組みを進めている。08年度から先進的な事例に補助金を出している。梶山さん宅も、その一つだ。

住宅関連団体や自治体などで作る住宅リフォーム推進協議会(東京)は、「長寿命化リフォーム」と名付け、昨秋から各地で消費者向けセミナーを開いている。柱やはりなどの構造部分に耐久性を持たせる一方、間取りなどは変えやすくするリフォームだ。その後、居住者が修繕などの維持管理を計画的に行い、記録を保管する。売却する際も、買う側は安心できる。同協議会は「長寿命化リフォームを一度して、後は小規模な修繕などを行う方が、長い目で見れば経済的な負担も少ない」と説明する。

ただ、課題も大きい。一般的なリフォームと比べて、長寿命化のための一時的な費用が高くなることだ。国は、住宅の耐震化を促しているが、費用負担などが原因で目標通りには進んでいない。リフォームも同じ理由で進まない可能性がある。

東洋大学教授の秋山哲一さん(建築生産学)は「消費者の生涯設計や家計の収支計画などによって、長期的な経済面のメリットがない場合もある。メリットがある場合は、それを理解してもらう必要がある。リフォーム会社はファイナンシャルプランナーなどの専門家と連携もして、こうしたことを説明することが求められる」と指摘する。

長く住み継げる住宅が増えれば、住生活はそれだけ豊かになる。そのためには、消費者が納得し、安心して頼めるリフォームの環境が望まれる。(西内高志)

住宅リフォーム推進協議会では、ホームページ(http://www.j-reform.com/)で、長寿命化リフォームについて説明している。動画やテキストで、その意義や進め方、実例などを紹介。また、各地で開いている消費者向けセミナーの日程なども分かる。

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10  【リフォームは今】(中)欠陥に備え業者が保険  2011/2/18 読売新聞

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加入前には検査

キッチンの配管に水漏れなどがないか調べる検査員。リフォーム工事瑕疵担保責任保険への加入にはこうした検査が不可欠だ(埼玉県桶川市で) 埼玉県桶川市の男性(64)宅で2月上旬、リフォーム工事が適正だったかどうかを調べる検査が行われた。

3か月にわたる大がかりな内部の改修で、増築した居間や玄関の基礎部分も見るため、検査は工事中にもすでに行っている。今回は工事後の最終検査だ。

検査したのは、住宅専門の保険法人、日本住宅保証検査機構(JIO、東京)。2級建築士の検査員が、リフォーム工事をした「涌井設計」(埼玉)の担当者と、キッチンや浴室の配管やバルコニーの防水の具合を調べていった。

問題は見つからなかったため、同社はJIOの販売する「リフォーム工事瑕疵(かし)担保責任保険」に加入できる。男性宅で、リフォーム工事に伴う欠陥が見つかっても、免責分を除いて補修費用の8割が保険金として同社に支払われ、施主の男性に負担はない。倒産しても、補修費の全額が男性に支払われる。

妻(61)は「信頼しているが、何が起こるか分からない。保険があれば安心」と話す。

保険料は、施主が払う工事代金に上乗せされることが多いが、同社は、高額の工事では自社で負担している。今回同社が払った保険料は5万円余り。

住宅リフォームを巡っては「工事後に不具合が見つかった」「過大な費用を請求された」などのトラブルが絶えない。業者が補修に応じないという苦情も目立つ。住宅リフォーム・紛争処理支援センター(東京)に寄せられた相談は2009年度、3252件で4年ぶりに増加した。

こうした中、国土交通省が指定した住宅専門の保険法人6社が昨春から、リフォーム工事瑕疵担保責任保険を販売している。業者はあらかじめ登録し、工事ごとに検査を受け、認められると保険に加入できる。1月末現在、登録業者は5157社、保険の申し込みは8800件を超えた。

保険は検査を伴うため、欠陥の防止にもつながる。JIOで昨年4~8月に行った工事中の検査166件のうち、28%の46件で問題点が指摘され、補修が行われた。JIOは「検査と保険の両方で、消費者保護を図っている」と話す。

保険以外の支援もある。住宅リフォーム・紛争処理支援センターは昨春、無料の相談窓口「住まいるダイヤル」を設置し、業者から提示された見積もりについての相談を受け付けている。相談者から見積書を送ってもらい、チェックしたケースが約230件(昨年末現在)あった。

訪問販売で700万円の契約をした例では、見積書に大まかな工事項目しかなく、単価や数量、仕様などの記載がないことを指摘し、一定期間内であれば無条件で解約できるクーリングオフを勧めたという。

ただ、こうした支援策はまだあまり知られていない。国交省は今年度、各地のホームセンターや家電量販店に職員が出向き、寸劇などで制度を説明するイベントを開催している。同省住宅生産課は「支援策は、利用されてこそ意味がある。認知度を高める努力を続けたい」と話す。

リフォーム工事瑕疵担保責任保険を利用できる登録業者は、住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページ(http://kashihoken.or.jp/)で検索できる。

住まいるダイヤル(0570・016・100、ナビダイヤル)の受付時間は、午前10時~午後5時。土、日曜、祝日と年末年始は除く。

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11  空き家減へ古民家認定制度  2011/2/18 読売新聞

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散居村の景観保全に取り組む富山県砺波市は、古民家認定制度を創設する方針を固めた。定義があいまいだった古民家に、認定を与えることで、観光などの活用を促し、空き家を減らすのが狙い。2011年度は、まず伝統的家屋の空き家の実態を把握するため、当初予算案に調査費などとして200万円を計上した。

認定制度は、散居村への宿泊体験ツアーなどを企画してきた「となみ散居村空き家利活用協議会」が昨年12月、市に提案した。所有者から募った家屋を専門家らが調査して古民家として認定する内容で、認定基準や審査にあたる専門家の人選などを検討するよう市に求めていた。

市都市整備課によると、古民家は年代や構造の定義がないため、家屋ごとの助成が難しく、現在は屋敷林の間伐などの補助にとどまる。古民家と認定することで、県外からの観光や移住などを促すほか、行政の助成も容易になり、同課は「住民自身も誇りと責任感を持つようになれば」と期待している。

散居村では、少子化や農家の減少で、維持費のかかる古民家を手放す住民が増加。ボランティアの市民で作る「砺波土蔵の会」(尾田武雄理事長)は、昨春から空き家の実態調査を開始し、昨年末時点で、市内に183軒の空き家があることが判明した。

空き家の実態調査では、地縁関係を活用するため、市内の全21自治振興会への補助も行う。上田信雅市長は「これから空き家が増えるのは間違いない。多くの人に関わってもらうことが大切」としている。

散居村は、カイニョと呼ばれる屋敷林を備えた伝統的家屋が点在する景観で、砺波平野に約220万平方メートルが広がっているとされる。同協議会の有川成正実行委員長は「古民家の維持はお金がかかる。認定制度によって行政の支援を広げ、空き家が減れば」と話している。

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12  【リフォームは今】(上)ホームセンターの安心感  2011/2/17 読売新聞

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気軽に相談 予算立てやすく

ホームセンターは、製品の価格が明示されているため、予算が立てやすい(カインズホーム青梅インター店で) 住宅リフォームの現場が変わりつつある。新規参入する会社が増え、消費者の選択肢が広がった。

欠陥工事に対する保険が始まるなど、支援制度も充実してきた。背景に、環境問題などから、家を改築して長く住むという考えが重視されるようになったことがある。最近の事情を紹介する。

東京都青梅市の主婦(66)は、自宅の台所をリフォームしたいと考え、昨年11月、市内のホームセンターのリフォームコーナーで相談した。「システムキッチンが何種類か展示され、予算が立てやすかった」

ホームセンターと提携する工事業者が数日後に来訪。キッチンの交換、勝手口の設置、廊下の床の張り替えといった希望を伝えた。見積額に納得できたため、ホームセンターと契約した。工事は予定の期日で終わり、費用は見積もり通りだった。「多くの人が知る店だったので安心できた」と話す。

主婦が訪れたホームセンターを展開するカインズ(群馬)はここ数年、リフォームに力を入れている。約90店に専門コーナーを設置し、トイレや浴室などの製品と工事をパック料金で示している。「ホームセンターでも依頼できることが認知されてきた」と同社。

リフォームは地域の工務店や大手住宅会社などが請け負うのが主流だが、選択肢が広がっている。社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(日本DIY協会、東京)に加盟するホームセンター72社の半数以上が手がけている。トステムビバ(埼玉)やホーマック(北海道)、コーナン商事(大阪)などが力を入れる。

リフォームを考える消費者にとって大きな悩みが、費用がどの程度かかるか、事前に分かりにくいことだ。悪質リフォームが後を絶たず不安という状況もある。国土交通省によると、昨年10月のインターネット調査(回答数2750人、複数回答)では、今後リフォームする際に重視する点は、「価格の透明性・明朗さ」が64%で最も高かった。

その点、ホームセンターは身近な存在で気軽に相談しやすく、キッチンやトイレなどを店頭で売っているため、費用の目安が付けやすい。工事は提携する業者が行う場合が多いが、契約はホームセンターとする。

家電や家具の小売業も参入した。家電量販店のエディオン(大阪)は71店舗で、キッチンや浴室などのリフォームを工事費込みで明示している。ニトリ(北海道)も1月、首都圏の2店舗に相談窓口を設けた。

ただ、小売業は会社や店舗によって、住宅全体の大がかりな工事に対応できない場合もある。消費者の要望を聞くのに加え、提案できる人材の育成も課題だ。

業者にはそれぞれ特徴がある。大手住宅会社などは多くの設計士を抱え、デザイン性が高いリフォームを任せられる。地域の工務店は工事後もメンテナンスを頼みやすい。

住宅リフォーム研究所(横浜市)所長の石原孝司さんは「依頼する際は、いくつか候補を挙げ、実際に訪問して実績やアフターサービスを確認し、それぞれから見積もりを取って比較することが大切」と話す。

日本DIY協会ではホームページ(http://www.diy.or.jp/)で、リフォームを取り扱う全国の800以上の店舗(昨年9月現在)を都道府県別に紹介している。相談から見積もり、契約、工事、アフターサービスまでの流れも解説している。

同協会では、毎年夏に主催するイベントで、設備を展示するなどし、ホームセンターによるリフォームをPRしている。

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13  2010年の全国マンション発売戸数、5年ぶりプラス  2011/2/23 日経産業新聞

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不動産経済研究所(東京・新宿)が22日発表した2010年の全国のマンション発売戸数は前年比6.4%増の8万4701戸で、5年ぶりに前年実績を上回った。事業主別の供給戸数は大京が3年連続の首位を守ったほか、三井不動産レジデンシャルが2位に浮上。ただ、増加は東京や大阪など大都市圏の中心部に限られ、大手デベロッパーに偏っている。

大京の供給戸数は09年比3割増の5307戸。2位の三井不動産レジは5037戸で、前年の4位から順位を上げた。3位は東京都豊島区で大規模マンションを手掛けた野村不動産で、09年の約2倍に当たる5036戸を発売した。

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14  積水化学「百ます計算」教授と二世帯住宅向け内装を共同企画  2011/2/23 日経産業新聞

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積水化学工業は22日、百ます計算で有名な立命館大学の陰山英男教授と共同企画した二世帯住宅向け内装「3世代ハイムかげやまモデル」を3月1日に発売すると発表した。子どもの規則正しい生活習慣や学習意欲の向上につながる仕組みなどを用意。共働き夫婦でも祖父母と協力して子育てができることを売りにして2011年度で300棟の販売を目指す。

同社が販売する鉄骨系住宅「セキスイハイム」と木質系の住宅「セキスイツーユーホーム」のいずれでも新発売の内装を選べる。両世帯共通でリビングにカウンターデスクを設けるほか、トイレなどにも本棚を設置。子どもがどこでも勉強できる空間を作る。子どもに整理整頓の習慣を根付かせる収納のほか、各世代の交流に使えるメッセージボードも共有スペースに配置する。

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15  東洋エクステリア、ガレージの屋根を緑化するシステム  2011/2/22 日経産業新聞

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東洋エクステリアはガレージの屋根を緑化するシステム「エコリス ミドルルーフ」を3月1日に発売する。ガレージの屋根の上を緑化することでガレージ内部の温度上昇を抑える。環境への配慮などアピールし、戸建て住宅向けに販売する。

屋根の上に架台を設置した後に緑化トレーを並べ、抑え材で固定する。屋根の上を緑化することにより太陽光の影響を和らげ、昼でもガレージ内の温度が上がりにくくなるという。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.372  2011/2/17~2011/2/23 Vol.3
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【日経産業新聞】

16  トーセイ、東京・月島のマンションを3月下旬に発売

17  オークハウス、シェアハウス型アパート 音楽スタジオなど併設

18  大東建託、オール電化仕様の賃貸マンション

19  東洋エクステリア、施工簡単な車庫用の伸縮門扉

20  INAX、狭いスペースにも設置しやすいトイレ用手洗い器

21  平和不動産、三菱地所と提携 財務強化へ134億円調達

22  新築マンションのアフターサービス、三井不レジが満足度首位

23  三井不レジデンシャル、大阪・摂津で大型マンションを公開

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16  トーセイ、東京・月島のマンションを3月下旬に発売  2011/2/22 日経産業新聞

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トーセイは東京都中央区で開発中のマンション「ザパームス月島ルナガーデン」を3月下旬に発売する。電力会社から電気を一括受電する仕組みを導入、住人の電気料金を最大5%低減する。2012年7月の完成を予定している。

マンションは地上10階建てで総戸数は122戸。住戸の広さは41~91平方メートルとした。エネルギー効率の高い給湯器や節水機器を採用するなどで住宅版エコポイント制度の対象住宅となるようにした。また駐車場にカーシェアリングを2台導入して利便性を高めるほか、屋上に共用の菜園を設けて住人のコミュニティー醸成に役立てる。

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17  オークハウス、シェアハウス型アパート 音楽スタジオなど併設  2011/2/21 日経産業新聞

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ゲストハウス大手のオークハウス(東京・豊島、山中武志代表取締役)は、3月1日から音楽スタジオやビジネスセンターなどを併設したシェアハウス型アパートを開設する。同社のスタッフが常駐し日常生活を支援するほか、仕事や趣味などが楽しめる部屋を用意する。利便性の高いシェアハウスを求める単身者などの入居を促す。

新たに開設するアパートは「コンフォートたまプラーザ」(横浜市)。住戸数は126部屋で、シングル用や2人で住むシェア用などを用意した。クリーニングや宅配便の受け取りなど入居者のサポートをする。

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18  大東建託、オール電化仕様の賃貸マンション  2011/2/21 日経産業新聞

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大東建託は土地オーナー向けに、オール電化設備を標準装備した賃貸マンション「ライフエル」を発売した。天井まで届くハイサッシを導入したほか、柱やはりの凹凸を出さない工法を採用し、開放感のある室内を実現した。

電気温水器を使い料金の安い深夜電力を有効活用する。IHクッキングヒーターは掃除の手間が省けるほか、エントランスや階段を建物の内側に組み込み、敷地を有効利用して住戸数を増やす。

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19  東洋エクステリア、施工簡単な車庫用の伸縮門扉  2011/2/21 日経産業新聞

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東洋エクステリアは、車庫用の伸縮門扉「アルシャインHG」を3月1日に発売する。キャスターやレールをなくして施工を容易にし、傾斜地や角地にも対応する。戸建て住宅向けに売り込み、年間2億円の売り上げを目指す。

床面を加工する手間が省け、伸縮する際の開閉音も静かになる。長い柱と組み合わせることで傾斜地にも設置可能。収納時は本体を回転させ開口部を広くできる。本体色は4色から選べる。家側からも鍵を使って施錠・解錠する両面シリンダー錠を採用し、防犯性能も向上させた。価格は15万2460円から。工事費などが別途かかる。

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20  INAX、狭いスペースにも設置しやすいトイレ用手洗い器  2011/2/18 日経産業新聞

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INAXは17日、狭いスペースにも設置しやすいトイレ用手洗い器「コフレル」を4月1日に発売すると発表した。壁への水はねを防ぐ機能を搭載、掃除のしやすさなどをアピールしてリフォーム需要の取り込みを狙う。

手洗いボウルの排水口には継ぎ目を無くした。陶器製の商品としては業界初という。継ぎ目の部分に汚れがたまらないため、清潔に保ちやすい。壁への水はねを防ぐバックガードがボウルと一体となっており、手を洗うときに壁がぬれにくい。

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21  平和不動産、三菱地所と提携 財務強化へ134億円調達  2011/2/18 日経産業新聞

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平和不動産は17日、三菱地所と資本業務提携すると発表した。3月に実施する第三者割当増資を三菱地所が引き受け、平和不動産の筆頭株主になる。平和不動産は三菱地所からの資金調達に加えて新株発行による増資で約79億円を確保。合計で約134億円を調達して財務体質を強化する。提携により東京都中央区の金融街、日本橋兜町の再開発事業を加速させる狙いだ。

第三者割当増資の後、三菱地所は平和不動産株の保有比率が0.92%から10.71%になる見込み。これまで両社は東京都新宿区内の不動産開発に共同で取り組んできたが、本格的な協業の実績はなかった。三菱地所は平和不動産の筆頭株主として、同社が推進する日本橋兜町の再開発事業に参加する方針。

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22  新築マンションのアフターサービス、三井不レジが満足度首位  2011/2/17 日経産業新聞

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不動産マーケティングのアトラクターズ・ラボ(東京・千代田、沖有人社長)がまとめた新築分譲マンションのアフターサービス満足度調査によると、三井不動産レジデンシャル(東京・中央)が前回に引き続いて全体の首位を維持した。担当者の接客態度や問題解決度などが評価を高めたとみられる。2位以下は三菱地所や住友不動産などが続いた。

単独と共同企業体(JV)を含めた全体での満足度のスコアは、1位の三井不動産レジデンシャルが79.1だった。2位の三菱地所は76.2で前回の5位から大きく順位を上げた。3位の住友不動産は前回の2位から降格。4位の東京建物や5位の野村不動産も前回より順位を上げた。

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23  三井不レジデンシャル、大阪・摂津で大型マンションを公開  2011/2/17 日経産業新聞

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三井不動産レジデンシャルは16日、阪急京都線「摂津市」駅前で開発中の大型分譲マンション「パークシティ南千里丘」を公開した。施設内には太陽光発電を搭載した多目的アリーナや保育園などの共用設備を充実し、住人同士のコミュニケーションを促したのが特徴だ。

住居部分となる専有部には冷暖房効率を高める複層窓ガラスを採用したほか、省エネを「見える化」するモニターシステムを搭載。環境性能も高めた。

2011-03-03 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed