住宅関連新聞記事ダイジェスト No.628  2016/3/31~2016/4/6

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.628  2016/3/31~2016/4/6
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【日本経済新聞】
1 デザイナーズ住宅の不都合な真実
2 シャープ、小型の住宅向け蓄電池 6月発売
3 住宅ローン金利だけ下げ 宮崎銀行、預金は据え置き 
4 タマホーム、中高級住宅扱う子会社設立
5 フラット35、過去最低を更新 21~35年は年1.19%
6 東京五輪後の選手村5600戸、3割を賃貸住宅に 都が計画
7 民泊、大阪でも申請第1号 東京で初申請の業者
8 住宅着工、2月7.8%増 貸家好調・マンション減少一服

【朝日新聞】
9 民泊、パリからの警鐘 「匿名性」排除が必須 自民党観光基盤小委
10 東京23区ビル供給、来年は急減 森トラスト調べ
11 日土地など参画「大崎ウィズシティ」 品川区「緑化大賞」受賞聞
12 既存不適格を活用しやすく 増床、耐震診断で可に 小規模増築の基準合理化 国交省
13 4月フラット35金利、1.1%台に低下
14 消防庁、民泊向けリーフレット策定へ 火災の危険を注意喚起
15 「晴れ」地域が更に増加 2月中古マンション天気図 東京カンテイ
16 分譲マンション6カ月ぶり増 国交省、2月着工

【読売新聞】
17 古民家改装 ぬくもりの味
18 民間の力 笑顔支える
19 水道記録で空き家調査
20 大手銀、4月の住宅ローン金利引き上げ
21 選手村、五輪後は高層マンションに…都整備計画
22 公示地価 8年ぶり上昇

【日経産業新聞】
23 大日本印刷、2枚のガラス重なりで調光、窓にブラインド機能
24 入浴と脳活動究明へ TOTO、「脳トレ」教授と組む
25 大成建設、汚染水をホップ成分で浄化
26 マンション買取再販のOGI リフォームの展示場20店 16年度計画
27 三菱地所「ホークスタウンモール」跡地、大規模商業施設に 18年度開業へ
28 相鉄HD、マンション改修事業に参入 年間販売500戸目指す

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1 デザイナーズ住宅の不都合な真実 2016/4/6 日本経済新聞
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不動産コンサルタント 長嶋修
 テレビなどのメディアではよく、個性的な間取りやデザインの家が紹介されている。お仕着
せの建売住宅ではなく、注文住宅で夢のマイホームを建てるにあたり、自分だけのオリジナル
な家を建てたいといったニーズはいつの時代でもあるのだろう。
 こうしたいわゆる「デザイナーズ住宅」と呼ばれる物件には、もちろん素晴らしいものもあ
るが、思いもよらないところに注意が必要なこともある。

■高級デザイナーズ住宅が一斉に雨漏り
軒の出がないと雨漏りのリスクが高まる
 たとえば「軒の出がない建物」。建物から屋根が伸びている部分を「軒」というが、これを
なくしてフラットですっきりとした外観を追求しているパターンの建物だ。都心部などでは敷
地が狭いところに境界線ギリギリまで建物を建てることも少なくないため、しかたなくこのよ
うな形状になっていることも多い。
 なにが問題かというと、とにかく「雨漏りの可能性が高くなること」。軒の出が少ない分、
吹き込んでくる雨にはめっぽう弱い。それを補うような設計配慮があればいいが、そうでない
場合は大変だ。
 とある都内の高級住宅地に建つ数棟の高級デザイナーズ住宅が、一斉に雨漏りした事例もあ
る。さらに、軒がないことで外壁が雨を直接受けることになり、その分、確実に外壁の劣化ス
ピードは早まる。デザインや経済性を追い求めた結果、むしろ経済性を失い「金食い虫の建物
」になってしまうのだ。
 そして「メンテナンス不可能な建物」。外観にいろんな装飾がついていたりするパターンが
あるが、「建物の形状が複雑すぎる建物」も問題だ。建物の形はシンプルな直方体がベスト。
 複雑になるほど外壁や屋根の形状も変わり、それだけ雨漏りの可能性が増える。さらに修繕
にかかる費用もアップする。外壁や屋根の修繕を行う場合、建物の外回りに足場を組むが、屋
根・外壁修繕費用のおよそ半分がこの「足場代」であるため、それだけ割高になってしまう。
 間取りにも注意が必要だ。例えば、中2階のある「スキップフロア」などの変わった間取り
があるが、汎用性のない、つまり売ったり貸したりしにくい形状になると、売買時や賃貸時に
苦労することになる。このような間取りを採用するなら、後から容易に間取り変更できるよう
にするなどの設計配慮が必要だが、そうした気遣いがあるケースはまれだ。歳をとった時に暮
らしにくいと感じる可能性もあるだろう。
 中古住宅市場では「より多くの人が好む外観や間取り」が好まれる。資産価値を踏まえると
、自分は気に入っていても、他の人はどう思うだろうかといった視点も必要になるだろう。

■10年以内に売却する人が3割
 もちろん、売らないでそこに住み続けていればこうした問題は顕在化することはない。しか
し、中古住宅市場に売りに出される物件のうち30%は、築10年以内の物件だという。「親と同
居することになった」「転勤やリストラ・減給」「住みたくなくなった」など理由は様々だ。
 また、将来は「リバースモーゲージ制度」が今以上に整備される可能性もある。リバースモ
ーゲージとは、簡単にいえば「家に住み続けながら、それを担保にお金を借りられる仕組み」
。面白いのは「返済は自身が亡くなってからでよい」というところ。
 金融機関に家を差し出して借金はチャラに。「子孫に美田を残さない」といったお考えの方
には最適で、まさに一生で資産を使い切るというものだ。こうした制度が将来確立された場合
、資産価値が低い家では不利になるだろう。
 さらには「コンクリート打ちっぱなしの建物」。これは商業ビルなどによく見られるが、マ
イホームでも採用が増えている。コンクリートをむき出しにして、そのメタリックな質感を全
面に出そうということだろう。
 しかし、こうした建物は「省エネ性」が最悪だ。コンクリートは暑さも寒さも吸収しやすく
、夏は熱く、冬はキンキンに冷たくなる。それが室内に伝わり、一年中冷暖房機をフル回転さ
せていないと生活ができないほどだ。
 さらにコンクリートは熱で膨張し、冷たくなると収縮する。この収縮を何度も繰り返すため
、コンクリートそのものの寿命も短くなってしまう。
 さて、今回挙げたようなデメリットを踏まえても、個性的な外観や間取りの住宅を建てたい
だろうか。あるいは、こうしたリスクについてそれぞれ対応ができる業者にお願いするか。具
体的に事を進める前にちょっと立ち止まって考えてみたほうがいいだろう。
 本当にデザイン性の高い住宅とは、建物形状がシンプルにもかかわらずカッコよくて、雨漏
りや修繕、省エネ性などについて十分な配慮があり、売買時や賃貸時の市場性が見込まれ、加
齢配慮がある――という条件がそろった住宅ではないだろうか。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さく
ら事務所(http://sakurajimusyo.com/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不
動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月
、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本
ホームインスペクターズ協会を設立し、初代理事長に就任。『「空き家」が蝕む日本』(ポプ
ラ新書)など、著書多数。

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2 シャープ、小型の住宅向け蓄電池 6月発売 2016/4/4 日本経済新聞
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 シャープは4日、設置スペースを抑えた小型の住宅向け蓄電池システムを6月に発売すると
発表した。標準タイプは体積を従来比34%、大容量タイプは54%小さくした。クラウドと組み
合わせることで、天気予報や災害の情報に応じて充電や放電を制御できる。
 標準タイプは容量4.2キロワット時で希望小売価格は電力変換装置とセットで税別180万円。
太陽光発電の電力を蓄え、自家消費する家庭の需要を喚起する。住宅メーカー以外の販路も開
拓する。

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3 住宅ローン金利だけ下げ 宮崎銀行、預金は据え置き 2016/4/2 日本経済新聞 
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 宮崎銀行は1日、住宅ローンの基準金利を4日から一部で0.5ポイント引き下げて年2.9%に
すると発表した。普通預金金利は0.020%で据え置く。預金と融資の利率を一緒に引き下げる例
が多い中で、異例の措置となる。競争力確保のために貸出金利は下げるが、預金金利の高さを
アピールすることで運用の原資となる資金を積極的に集める方針だ。
 宮崎銀行の預貸率(預金残高に占める貸出金残高の比率)は15年3月末時点で、75%超まで
上昇している。今後、地域の成長企業に融資を増やすには原資となる預金が必要なため、金利
据え置きを決めた。
 日銀がマイナス金利の導入を発表した1月末以降、九州の地銀の多くは普通預金金利を0.001
%に引き下げている。

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4 タマホーム、中高級住宅扱う子会社設立 2016/4/1 日本経済新聞
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 タマホームは1日、中高価格住宅を手掛ける全額出資子会社、日本の森と家(東京・港)を
設立したと正式発表した。資本金は2億円。タマホームが主力とする低価格住宅は消費増税後
に買い控えが続く。需要が堅調な所得の高い層を取り込み、収益を安定させる。
 新会社は寺社などで用いる伝統工法を応用した「板倉工法」を採用する。価格は標準的な建
物で3千万~4千万円(土地代をのぞく)と、タマホームの平均価格の2倍前後だ。まず直営
店を首都圏と中部、東北に出した後、フランチャイズチェーン(FC)方式で拡大する。2021
年5月期に500棟の販売を目指す。

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5 フラット35、過去最低を更新 21~35年は年1.19% 2016/4/1 日本経済新聞
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 住宅金融支援機構は1日、長期固定型住宅ローン「フラット35」の4月適用金利を発表した。
主力の借入期間21~35年(融資率9割以下)の最低金利は前月より0.06%低い年1.19%となり、
2カ月続けて過去最低を更新した。日銀のマイナス金利政策を受けて、基準となる長期金利が低
下しているため。期間20年以下の最低金利は前月と同じ年1.02%だった。
 フラット35は全期間固定型の住宅ローン商品。借入時に返済額が確定するので、金利変動リ
スクを避けたい人に向いている。民間金融機関が取り扱い、機構がローン債権を買い取る。

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6 東京五輪後の選手村5600戸、3割を賃貸住宅に 都が計画 2016/4/1 日本経済新聞
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 東京都は31日、2020年東京五輪大会後の選手村整備で、約5650戸の住宅を配置するまちづく
り計画を発表した。建物の間取りを広げるなどして従来構想から約300戸減らすほか、全体の3
割弱を賃貸住宅に充てる。五輪開催のレガシー(遺産)として、次世代エネルギーなどを活用
した持続可能なまちづくりを進める。
 計画の対象地は晴海地区の約18ヘクタール。16年度に着工し、五輪時には14~18階建ての中
層棟21棟を整えて選手らの宿泊棟として使う。五輪後は中層棟を住宅に改修したり、50階建て
の高層棟2棟やスーパーなどが入る商業棟を建設したりする。全23棟の住宅棟のうち、4棟約150
0戸を賃貸とする。整備事業は24年度に終える計画。

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7 民泊、大阪でも申請第1号 東京で初申請の業者 2016/4/1 日本経済新聞
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 大阪府は1日、国家戦略特区で住宅やマンションの空室などに旅行者を有料で泊める「民泊」
を認める条例を施行した。府庁で午前9時から申請を受け付け、事業者から1件目の申請があっ
た。
 事業者の社長ら計3人は緊張した表情で書類を提出し、女性職員が民泊で使うマンションの非
常口など細かい点を質問。10分ほどで手続きを済ませると、職員に向かって「よろしくお願い
します」と頭を下げた。

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8 住宅着工、2月7.8%増 貸家好調・マンション減少一服 2016/3/31 日本経済新聞
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 国土交通省が31日発表した2月の新設住宅着工戸数は前年同月比7.8%増の7万2831戸となった
。2カ月連続のプラス。相続税の節税対策のためアパートなどの貸家の着工が好調だった。減速
感が強かった分譲マンションの減少がひとまず一服したこともあり、全体で昨年8月(8.8%増
)以来の増加率となった。
 内訳をみると、貸家は12.5%増の2万8871戸となり、昨年9月以来の2ケタ増となった。アパー
トを建てて人に貸すと相続税を算出する際に使う土地の評価額が下がり節税対策となる。この
需要で貸家の着工が伸びている。

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9 民泊、パリからの警鐘 「匿名性」排除が必須 自民党観光基盤小委 2016/4/6 朝日
新聞
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 自民党の観光基盤強化に関する小委員会(鶴保庸介小委員長)がこのほど会合を開き、仏パリ
における民泊の現状について、東洋大学国際地域学部国際観光学科の徳江順一郎准教授にヒア
リングした。
 徳江准教授は、宿泊業者などで構成される現地の業界団体による調査結果を基にパリの現状
を説明。同地では民泊の急増に伴い、犯罪などが発生しているという。日本の民泊ルールの整
備に当たっては、ホスト(貸主)とゲスト(利用者)の匿名性の排除やプラットフォーマーに対す
る規制などの措置を提案した。また、民泊関係者の間には「ルールが厳しいとホストが萎縮す
る」との意見もあるが、「自由な競争をするのに公平公正なルールを守るのは当然。守れない
というなら、やましいことがあるのではないか」と持論を提示した。

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10 東京23区ビル供給、来年は急減 森トラスト調べ 2016/4/5 朝日新聞
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 森トラストはこのほど、東京23区の大規模オフィスビル(延べ床面積1万平方メートル以上)の
供給量動向をまとめた。それによると、来年は急減するものの、東京オリンピック前の開発機
運の高まりから18~19年には大幅に増加することが分かった。

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11 日土地など参画「大崎ウィズシティ」 品川区「緑化大賞」受賞 2016/4/5 朝日新

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 日本土地建物はこのほど、参加組合員幹事企業として開発に携わった「大崎ウィズシティ」(
敷地面積7171平方メートル、延べ床面積5万8441平方メートル)が、東京都品川区「みどりの顕
彰制度」の緑化賞において「緑化大賞」を受賞したと発表した。
 大崎ウィズシティは、JR山手線・大崎駅から徒歩4分に立地。大崎駅から歩行者デッキで直結
している。14年1月竣工。

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12 既存不適格を活用しやすく 増床、耐震診断で可に 小規模増築の基準合理化 国交省
2016/4/4 朝日新聞
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 国土交通省は、既存不適格建築物の活用がしやすくなる制度改正を行う。建築物内部での床
の増設など、小規模な増築を行う場合の基準を合理化する。建築基準法の政令に基づく告示の
一部を改正する予定だ。このほど、告示案のパブリックコメントの募集を開始した。
 延べ面積が2分の1以下の増改築を行うとき、増改築の前後で建築物の主要な構造部材に変更
を加えない場合は、現行の構造計算を行わなくても耐震診断基準への適合が確認されれば増改
築可能、とする基準を告示に追加する方向。具体的には吹き抜け部分の増床や、階高の高い室
内での中間階設置などのケースが想定される。

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13 4月フラット35金利、1.1%台に低下 2016/4/1 朝日新聞
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 住宅金融支援機構が提供する長期固定型住宅ローン「フラット35」の4月適用金利(融資率9割
以下、借入期間21年以上35年以下、最頻値)が、前月を0.06%下回る1.19%となった。4カ月連続
で前月を下回った。1.1%台まで低下したのは史上初めて。住宅ローン金利を決める際の指標と
なる10年国債利回りが、3月は終日マイナスとなるなど、日銀によるマイナス金利政策が大きく
影響している。

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14 消防庁、民泊向けリーフレット策定へ 火災の危険を注意喚起 2016/3/31 朝日新聞
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 消防庁は民泊のサービス事業者と利用者に向けて、火災の危険性について注意喚起するリー
フレットを作成している。日本語と英語、中国語、韓国語版をつくり、近く公表する。ウェブ
サイトからダウンロードする形式などを検討しているという。 
 なお現行規定では、旅館やホテルで収容人員が30人以上(従業員を含む)となる場合は、消防
署の講習を受けた防火管理者を定める必要がある。その管理者が注意喚起や防火対策状況のチ
ェックなどの防火管理を行う。マンションでは、管理会社の従業員が防火管理を受託している
ケースが多い。

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15 「晴れ」地域が更に増加 2月中古マンション天気図 東京カンテイ 2016/3/31 朝
日新聞
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 東京カンテイは3月31日、2月の中古マンション価格天気図(70平方メートル換算、売り希望価
格)をまとめた。2月は首都圏で価格上昇の鈍化傾向が見られるものの、地方圏の価格は概ね上
昇傾向を維持しており、価格が上昇傾向にあることを示す「晴れ」が13地域から15地域と増加
した。地方都市の価格は前月から引き続き強含んでいる地域が多く、下落傾向を示す「雨」は2
地域に減少した。

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16 分譲マンション6カ月ぶり増 国交省、2月着工 2016/3/31 朝日新聞
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 国土交通省の調べによると、2016年2月の新設住宅着工戸数は7万2831戸だった。2カ月連続で
増加した。分譲住宅と貸家の増加が寄与した格好で、特に分譲マンションは6カ月ぶりの増加と
なった。季節調整年率換算値は97万4000戸。

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17 古民家改装 ぬくもりの味 2016/4/6 読売新聞
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 静岡県藤枝市の瀬戸ノ谷地区に、とろろ料理店「中里の庄・和なごみ」がある。築100年
以上の古民家を改装した115平方メートルには土間や囲炉裏があり、温かい雰囲気に包まれ
る。昨年春、牧田和幸さん(61)が夢を形にした店だ。
 名古屋市に本社を置く電気工事会社に勤めていた牧田さんは40歳代の頃、静岡県内を中心
に現場監督として社に書類を上げる日々が続いた。仕事は順調だったが、「感謝が直接伝わる
人対人の仕事がしたい」とも思っていた。
 仕事やボーイスカウトで山間部に行くことが多かった。そんな折に見かけた日本家屋にひか
れ、古民家巡りが趣味になった。高じて民間資格「古民家鑑定士」も取得。退職後には「趣味
を生かした仕事がしたい」と考え始めた。

 転機は50歳。主婦の妻・曜子さん(63)と箱根旅行で食べたとろろ料理のおいしさに感
動した。生まれ育った静岡県は東海道五十三次・丸子まりこ宿(静岡市)などとろろ汁が名物
だ。「古民家の雰囲気と一緒に味わってもらおう」
 休日になると、古民家の空き家探しで県内を歩き回った。56歳の時、現在の物件に一目ぼ
れ。家族の反対をよそに、同県島田市の自宅と土地を担保に金融機関から借りた約2000万
円で古民家を購入した。
 60歳で退職し、退職金で古民家の借金と住宅ローンを完済した。残った1000万円を使
い、畳やテーブルなど内装にこだわった。貯金はほとんどなくなったが、2人の息子は自立し
ており、生活費は年金で賄う覚悟だった。
 料理は、本やインターネットで独学。休日に妻と県内外のとろろ料理店を食べ歩いては、店
の味を再現すべく研究を重ねた。初めは反対していた曜子さんも「真剣な夫を見守るうちに私
の方が盛り上がっていきました」。

◇ ◇

 昨年3月に待望の開店。当初の客は1日数人だったが口コミで評判が伝わり、8か月後には
約30人に増えた。お薦めのメニューは、山口県から取り寄せたヤマイモをすりおろし、静岡
県掛川市のみそと焼津産サバ節などで取っただしを合わせたとろろをご飯にかける「なごみ膳
」(1944円)。曜子さんが作るふろふき大根やナスのおひたしの付け合わせも好評だ。
 月の売り上げは30万円程度。そのうち5割を材料費に充てる。パート1人の給料などを差
し引くと利益は月に約10万円だ。大半を店の運転資金に回し、生活費は年金頼りだが、牧田
さんは「今を楽しむために働いています」と笑った。(静岡支局 小栗高太)

情報サイトで探す
 日本政策投資銀行は、1950年以前に建てられた木造の住宅を古民家と定義し、2013
年時点で空き家は約21万軒あると推計している。
 購入する人も少なくないが、改修費が膨らむ場合や、山間部で交通の便が悪い物件も多い。
探す際には、全国古民家再生協会(東京)の関連団体が運営するサイト「古民家住まいる」(h
ttp://kominka.net/)が役立つ。外観や間取り、築年数、希望価格などを公開している。購入
前には所有者と入居希望者との面談や現地案内も行う。このほか、自治体が運営する空き家情
報サイト「空き家バンク」もある。いずれも無料で利用できる。

<古民家の活用例>
■岩手県八幡平市の通所介護施設「なつかしの家」
 元和菓子店だった築100年以上の空き家を活用し、高齢者が昔住んでいた家を思い出す懐
かしい空間に創造した。
■広島県尾道市のゲストハウス「あなごのねどこ」
 尾道本通り商店街にあるウナギの寝床のような細長い築80年の住居兼店舗を利用した。名
前の由来は尾道名物のアナゴから。

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18 民間の力 笑顔支える 2016/4/5 読売新聞
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 ◇ 相談、見守りで社会貢献
 「最近、どこに物をしもたか忘れてしまうねん」
 「そのうち、しまったことも忘れるでぇ」
 大阪市平野区にある市営団地の一室。女性5人がおしゃべりに花を咲かせている。NPO法
人「えがおの樹き」が住民の交流の場として週3回開く無料のカフェサロン。5人は常連だ。
 ふと一人が、「ほんまに全部忘れてしまうようになったら……」と不安げに漏らすと、そば
にいた野田千草(47)が「病院に連れてってあげるよ、心配せんでも」と明るく笑った。
 えがおの樹は、高齢者の生活支援をボランティアで行う、大阪でも珍しい団体だ。理事長の
野田が痛感するのは、お年寄りが日々、様々な面でサポートを必要としていることだという。
 職業訓練校の講師だった野田が仲間らと2012年に設立した当初、失業者や障害者の就労
支援が目的だった。市の事業に応募して部屋を確保し、カフェサロンを設けて生活相談も始め
ると、高齢者ばかりが次々と駆け込んできた。
 「最近、体がしんどい」「家賃が払えない」「医療費控除の申請の仕方がわからない」「テ
レビのリモコンが動かない」――。
 公的支援が必要であれば、担当は区役所、社会福祉協議会、地域包括支援センターに分かれ
るが、高齢者には区別がつきにくい。野田たちは制度を調べ、援助の手をつないでいった。
 13年には、悪質な介護事業者が団地内を回って住宅リフォームを持ちかけていると聞き、
被害を防ごうと訪問介護事業も始めた。
 「相談に応じるうち、仕事がどんどん増えてしまって」と野田。気になる高齢者宅は訪ねも
する。「団地に事務所があるから、生活の様子がよくわかり、支援のとっかかりを見つけやす
い。何でも相談できる場所が生活圏内に必要です」
 民間の力が欠かせない。そのことを、昨年11月、大阪府寝屋川市で起きた痛ましい出来事
が教えてくれている。
 80歳代の夫婦が自宅で死亡していた。夫が、認知症を患う妻の介護を苦に無理心中を図っ
たとみられる。第一発見者は、呼び鈴を鳴らしても応答がないため郵便受けから室内をのぞい
た、宅食サービス「ワタミの宅食」のスタッフの女性だった。数日前、夫が「もう疲れた」と
漏らしたのが気になっていたという。
 自治体の間では今、こうした宅配会社や、水道やガスの検針など、定期的に地域を訪問する
事業者と連携協定を結ぶ動きが広がっている。「様子がおかしい」など、寄せられた情報を生
かし、公的機関による支援につなげる仕組みだ。
 寝屋川市も14年7月、「高齢者見守りネットワーク推進事業」を始めた。専用の通報窓口
も設け、4社と協定を結んだ。
 協定締結を持ちかけたのは、水道検針会社「宅配」(本社・東京)。担当者は「判断に悩む
ケースが多く、窓口があれば通報しやすくなる」と説明し、言葉を継いだ。「企業としての社
会貢献です。そう考えるのは今や、企業の常識です」
 市高齢介護室課長の柴田知成(43)は、こうした民間事業者や団体を「地域資源」と呼ん
でいる。「行政や住民の力には限界がある。地域コミュニティーが弱まる中、この先の超高齢
社会を乗り切るには、あらゆる地域資源を活用する必要がある」と力を込めた。
 「えがおの樹」の野田のもとには、他の団地の自治会などから「うちにも来てほしい」とい
う依頼が舞い込む。でも、人手は限られている。活動は目が届く範囲で、と決めている。
 「助けを求めている、声なき声がきっとある。それぞれの地域で、できることから始めてほ
しい」
 活動4年を経た、野田の思いだ。(敬称略)
 (「孤立と闘う」おわり。宮原洋、増田博一、梶多恵子が担当しました)

 ◇ 支援態勢
 コンビニ、電力会社などと協定
 民間の事業者や団体と連携して支援態勢を作る自治体は多い。大阪府は昨秋、大手コンビニ
チェーン4社と、家からいなくなった認知症の人の発見に協力してもらう協定を締結。兵庫県
は電力会社や新聞販売店など約30業者・団体と、市町が実施する見守り事業を支援する協定
を結んでいる。
 2012年に政府が策定した「高齢社会対策大綱」は、地域力の強化を挙げ、高齢者が住み
慣れた地域で安心して生活できるよう、行政と民生委員、ボランティア、民間事業者などが連
携した地域づくりを掲げた。

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19 水道記録で空き家調査 2016/4/5 読売新聞
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 国土交通省は4月から、急増する空き家を効率的に見つけるため、自治体が持つ各世帯の水
道利用データを活用した手法を検証する。早ければ2018年にも、全国の空き家調査に活用
を広げたい考えだ。
 国交省の研究機関「国土交通政策研究所」が、全住宅に占める空き家の割合が全国平均(1
3・5%)に近い鹿児島市の協力を得て、市水道局のデータを使って調査を始める。水道が使
われていない物件などを抽出し、調査員が実際に訪問して空き家かどうかを確認する。これま
では各自治体の職員が、すべての住宅を見て回り空き家を探してきたが、この方法を改める。
 昨年施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、各自治体に空き家の確認と適
切な管理を求めている。ただ、対策に取り組む自治体は15年10月時点で121市区町村と
、全体の1割にも満たない。背景には、時間や調査員の確保など膨大な手間や費用の問題があ
るとみられる。

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20 大手銀、4月の住宅ローン金利引き上げ 2016/3/31 読売新聞
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大手銀行は31日、4月の住宅ローン金利を発表した。三井住友銀行は10年固定型で、最
も信用度の高い人に適用する金利(最優遇金利)を3月より0・10%引き上げて、年0・9
0%にすると発表した。
 みずほ銀行とりそな銀行は0・05%上げて、年0・85%とする。マイナス金利政策を受
けて、過去最低を更新してきた住宅ローン金利の低下は、やや一服した。
 三菱東京UFJ銀行は0・10%上げて年0・90%、三井住友信託銀行は0・05%上げ
て年0・55%にする。

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21 選手村、五輪後は高層マンションに…都整備計画 2016/3/31 読売新聞
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 東京都は31日、2020年東京五輪・パラリンピック開催後の選手村(中央区晴海)の整
備計画を発表した。
 大会後に、選手らの宿泊棟を改修して一般向けマンションにするほか、高層ビル2棟を建設
し、最大1万2000人が暮らす新たな街とする。
 計画では、14~18階建ての選手らの宿泊棟21棟と、50階建て高層ビル2棟の計約5
650戸を、分譲・賃貸マンションとして供給する。入居は22年頃からとし、マンションの
一角には、保育所やサービス付き高齢者向け住宅、外国人のための滞在施設なども設ける。
 環境に配慮した「エコタウン」を目指し、商業施設やマンションの共用部には、水素を使っ
た次世代型の発電システムを設置。燃料の水素は水素ステーションからパイプラインで供給す
る。乗用車を共同利用する「カーシェア」や、バス高速輸送システム(BRT)の中継地も設
ける。

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22 公示地価 8年ぶり上昇 2016/3/31 読売新聞
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 国土交通省は22日、2016年の公示地価(1月1日時点)を発表しました。全用途の全
国平均がリーマン・ショック前の08年以来、8年ぶりに値上がりに転じました。商業地も8
年ぶりに上昇し、住宅地の下落幅も6年連続で縮小しました。日本銀行が続ける大規模な金融
緩和の影響で不動産向け投資が拡大し、円安による海外からの投資資金の流入も堅調に推移し
ていて、大都市周辺の不動産取引が活発となっています。
 全用途の全国平均も前年より0・1%増と、8年ぶりに前年を上回りました。住宅地が前年
より0・2%減だったものの、商業地が0・9%増と全体を底上げしました。東京、大阪、名
古屋の3大都市圏の平均は、商業地、住宅地ともに3年続けて上昇しました。
 しかし、3大都市圏を除く地方圏では、全体の6割強の調査地点が値下がりし、地価下落が
続いています。災害や地場産業の低迷、人口減少などで地価下落に歯止めがかからない地点が
多いのが現状です。
 読者センターには「地価が上昇傾向だというが、これはあくまでも目安だ。この価格で土地
が売れるわけでもない。また、投機目的だとしたら危ない。土地は上がるものだという妄想を
抱いてはいけない」「公的機関が公表する地価指標の公示地価、基準地価、路線価は重複する
部分が多い。変えるべきだ」などの意見が届きました。

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23 大日本印刷、2枚のガラス重なりで調光、窓にブラインド機能 2016/4/6 日経産業
新聞
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 大日本印刷はフィルムを貼った2枚の窓ガラスの重なりを変えることで、光の透過と遮光を
切り替えられる調光ブラインドを開発した。液晶パネル部材の偏光板の技術を応用し、手動で
ガラスの重なりを切り替えて光の出入りを制御する。オフィスビルや公共施設、病院、自動車
などでの需要を掘り起こす。2020年に年間30億円の売り上げを目指す。

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24 入浴と脳活動究明へ TOTO、「脳トレ」教授と組む 2016/4/4 日経産業新聞
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 TOTOは入浴時の姿勢と脳活動の関係を究明する。「脳トレ」で知られる東北大学加齢医
学研究所の川島隆太教授と共同で、入浴における快適さを研究。浴槽内での姿勢と脳活動の関
係を計測し、前頭葉の言語を生み出す領域への影響を見いだした。今後、同社が手掛けるバス
ルームの浴槽の形状などに研究結果を反映させるとともに、入浴の効果の目に見える根拠を示
して発信していく考えだ。

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25 大成建設、汚染水をホップ成分で浄化 2016/4/4 日経産業新聞
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 大成建設はビールの原料として使われるホップの成分で汚染地下水を浄化する技術を確立し
た。有害物質を分解する特定の細菌の活動を促すことで、既存の方法に比べて半分~3分の1
の期間で処理できるようになる。国内の汚染水浄化市場は年千億~2千億円とされる。すでに
工場跡地などで引き合いがあり、年内の事業化を目指す。

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26 マンション買取再販のOGI リフォームの展示場20店 16年度計画 2016/4/1 日
経産業新聞
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 住宅再販のOGIホールディングス(東京・港、岡野保次郎社長)はリフォーム事業を広げ
るため、2016年度までに住宅設備のショールームを20店開く。消費者が来店して設備を選び、
工事の依頼もできる。3月、千葉市に1号店を開いた。築年数が10年を超し改修期を迎えるマ
ンションなどが首都圏中心に相次ぐ見込みで、1年後に正社員を3倍の150人に増やし需要を囲
い込む。

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27 三菱地所「ホークスタウンモール」跡地、大規模商業施設に 18年度開業へ 2016/4/
1 日経産業新聞
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 三菱地所は31日、福岡市のヤフオクドームに隣接する商業施設「ホークスタウンモール」の
再開発計画の概要を発表した。モールは同日に閉館、4月中にも施設の解体工事を始める。跡地
に大規模な商業施設を建設し、2018年度中の開業を目指す。
 商業施設の敷地面積は約5万5500平方メートルとなる。延べ床面積は約13万平方メートルに及
ぶ見通しで、三菱地所が横浜市で運営する商業施設「マークイズみなとみらい」の延べ床面積
の11万6千平方メートルを超える見通し。

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28 相鉄HD、マンション改修事業に参入 年間販売500戸目指す 2016/4/1 日経産業新

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 【横浜】相鉄ホールディングスは東京都心で中古マンションの大規模改修事業に参入する。
専門の事業会社を立ち上げ、千代田区、中央区などを皮切りに23区全体に広げ、年間500戸の販
売を目指す。
 これまで相鉄線沿線を中心に事業を展開していたが、市場規模の大きい東京都心部を新たな
基盤としたい考え。

2016-04-07 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed