住宅関連新聞記事ダイジェスト No.389  2011/6/16~2011/6/22

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.389  2011/6/16~2011/6/22 Vol.1
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【日本経済新聞】

1  エコ住宅、府中にモデル地区 東京都が事業者公募

2  マンション入居者の電気代を安く マリモ、電力を一括購入

3  東京都、被災者の住宅支援を強化 民間住宅も提供

4  守谷商会、木材関連事業を強化 住宅開拓、県産材活用も

5  サンヨーハウジング名古屋、関西で建売り事業に進出

6  アイジー工業、屋根材を月産2.5倍に 復興需要に対応

【朝日新聞】

7  子育て住宅、設計アイデアずらり100 高松の穴吹建設

8  シャープとリクシルが共同出資会社 新製品を企画

9  子育て応援マンション、埼玉県が認定 サービスなど評価

10  地震保険の見直し「議論始めたい」損害保険協会長

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1  エコ住宅、府中にモデル地区 東京都が事業者公募  2011/6/21 日本経済新聞

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東京都は民間の資金やノウハウを活用し、府中市内に環境配慮型の住宅を集積したエコ住宅モデル地区を整備する。事業者からアイデアを公募し一般消費者に分譲する。今夏の電力不足でエコ住宅への関心も高まっている。都は工事のプロセスなどを公開し、中小工務店へのノウハウの普及を促す。2013年の完成をめざす。

エコ住宅を整備するのはJR武蔵野線「北府中駅」から徒歩10分の都営住宅の跡地。約2150平方メートルの敷地に15戸程度を建設する。

このため、(1)建設から居住、解体、廃棄まで二酸化炭素(CO2)の排出量を一般住宅に比べて50%削減(2)分譲価格は一般住宅並み――などを条件にすでに建設事業者の公募を開始した。今秋にも決定する。

建設事業者は工事の過程を公開し、中小工務店にエコ住宅の技術を習得する機会を提供する。

完成後の住宅は一般に分譲する。エコ住宅は通常の住宅に比べて2割程度割高だが、今回は通常価格で販売する予定。

入居者には日々の生活で電気やガスなどのエネルギー量の情報開示で協力を求める。都は省エネ効果をインターネットなどを使って幅広く公開することで、エコ住宅への関心を高め、市場の拡大につなげる。

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2  マンション入居者の電気代を安く マリモ、電力を一括購入  2011/6/21 日本経済新聞

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マンション開発・分譲を手掛けるマリモ(広島市、深川真社長)は、電力を一括購入し居住者に通常より5~15%割安な料金で提供する仕組みを分譲マンションに導入する。また、太陽熱を使った給湯システムを設置してガス料金も抑える。居住者の毎月の光熱費負担を低減して同業他社との違いを打ち出し、分譲マンションの販売拡大につなげる。

電力購入を代行するアイピー・パワーシステムズ(IPPS、東京・港)と連携する。IPPSが各地域の電力会社と高圧電力の契約を締結する。マンションに受変電設備を設置し、各居住者向けに低圧電力に変換して提供する仕組みだ。

第1弾として、広島市西区に2012年9月完成予定の「ポレスター横川駅前」のほか、岡山市、名古屋市、埼玉県久喜市で分譲するマンションに導入する。

電力会社が手掛ける電気料金の請求書発行や徴収業務はIPPSが担う。廊下などの共用部分は通常の料金とする。

高圧電力の料金は低圧に比べて安価なため、受変電設備の設置費用や維持管理費用、料金徴収に要する費用などを加えても、居住者に従来より5~15%割安な料金で電気を提供できる。

電力量計を遠隔から操作して検針することで業務を効率化する。IPPSが採用する電力量計を利用すれば、自動検針できるほか、居住者が電力使用量を日ごとや時間帯ごとに専用WEBサイトで把握できる。

「(電力の)使用状況がきめ細かく分かるので、居住者の節電意識が高まる」(マリモ)とみている。

今後、受変電設備を設置するスペースが確保できる中規模以上のマンションに電力一括購入の仕組みを導入する方針だ。

ガス料金の低減に向けて太陽熱給湯システムを設置する。屋上に設けるパネルで集めた太陽熱を活用して水道水を温める。高効率のガス給湯器と組み合わせて活用し、ガス使用量を20~25%程度減らすことができる。

マリモは建築設計会社として1970年に設立した。90年代にマンション分譲事業を開始し、これまでに全国で200棟以上を手掛けた。10年7月期の売上高は408億円。

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3  東京都、被災者の住宅支援を強化 民間住宅も提供  2011/6/20 日本経済新聞

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東京都は20日、東日本大震災で都内に避難した人を対象とした住宅支援策の拡充を発表した。新たに民間賃貸住宅を都が借り上げて提供するほか、入居中の都営住宅については期限を一律に2012年7月末まで延ばす。避難者らが安定的に生活できる環境を整え、復興を後押しする。

民間住宅で受け入れるのは福島、宮城、岩手県からの避難者で、通学や通院などの事情で都営住宅に入れなかったり、自ら賃貸住宅を借りたりしている人。都は東京都宅地建物取引業協会(千代田区)などを通じて賃貸住宅を借り上げ、災害救助法に基づく応急仮設住宅として提供する。

物件は耐震基準を満たし、月額家賃が10万円以内であることなどを条件とする。利用期間は当面1年間で、家賃や管理費などは都が負担する。6月末で退去期限を迎える「旧グランドプリンスホテル赤坂」(同区)に入居する約360世帯約750人のうちで移転先が決まっていない人に優先的に提供。そのほかの避難者については7月中の受け入れ開始を目指す。

一方、4月から受け入れを始めた都営住宅については、当面の利用期限を従来の「6カ月間」から「来年7月末まで」に延長する。全約1100世帯(約3400人)に適用し、各家庭にはエアコンや網戸を設置するなど生活環境の改善にも取り組む。

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4  守谷商会、木材関連事業を強化 住宅開拓、県産材活用も  2011/6/18 日本経済新聞

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守谷商会は木材関連事業を強化する。社寺の建て替えに加え、個人住宅の新築需要の開拓や、旅館・ホテルの内装工事の受注増を目指す。木材建築に精通する若手技術者を育成するほか、今後流通増が見込まれる県産材の活用も進める。

新たに作った木造住宅のパンフレットで、リフォームなどを受注した個人客に木材工事も手掛けていることをアピールする。大規模な土木工事やビル建築だけでなく「個人住宅も得意であることを知ってもらう」(藤本厚取締役専務執行役員)ことでイメージの転換を図る。

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5  サンヨーハウジング名古屋、関西で建売り事業に進出  2011/6/17 日本経済新聞

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愛知県を中心に注文住宅を手掛けるサンヨーハウジング名古屋は、関西地区で建売住宅事業に乗り出す。神戸支店(神戸市)を建て売り事業に特化し、2012年8月期に120戸超の供給を目指す。販売を地元に精通した代理店に任せることができるほか、中部圏と関西の住宅事情の違いも考慮し、事業形態を見直すことにした。

06年から注文住宅を販売していた神戸支店を、6月に建売住宅事業に特化した。第1弾として、近く神戸市垂水区で建売住宅の販売を始める。

今後は土地の仕入れと住宅の建設を同社が担当し、販売部分は地元に通じた代理店数十社に委託する分業体制をとる。

これに伴い、顧客との設計相談のために常駐していた建築設計士やインテリアコーディネーターらを支店から引き揚げる。営業担当者6人が、土地の仕入れや販売代理店の営業活動に専念する体制となる。

同社は、営業担当者が顧客の元を訪問し、土地付きの注文住宅を提案、販売する事業が柱で、売上高の約8割を占めている。地元の中部地区では、企業の社宅や寮、賃貸不動産から戸建て住宅への引っ越しなど地域内での住み替え需要が多く、戸別営業による顧客開拓は有効に機能していた。

しかし兵庫県や大阪府を営業エリアとする神戸支店では、こうした“愛知方式”の戸別営業・販売では売り上げが伸びにくかったという。「中部圏内に比べて(域外との間で)人の流動性が高い」(同社)ことがネックとなったとみられ、事業形態の見直しを進めていた。

建売住宅に特化して地元販売代理店との結びつきが強くなることにより、「地元の優良な土地の情報が入りやすくなる」などのメリットも期待している。

同社は04年に東京都内に支店を出店したが、都心部では注文住宅の受注が想定ほど伸びず、09年に閉鎖していた。関西地区での結果を踏まえ、早ければ1~2年後にも建売住宅事業で首都圏に再進出することを検討する。

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6  アイジー工業、屋根材を月産2.5倍に 復興需要に対応  2011/6/17 日本経済新聞

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金属サイディング国内最大手のアイジー工業(山形県東根市)は断熱性屋根材「ガルテクト」の増産に乗り出した。東日本大震災の復興需要に対応し、主力の東根工場(同)の月産規模は通常の2.5倍に上る。2012年3月期は新製品を積極的に投入し、2期連続2桁増収を目指す。

震災に伴い茨城県など北関東を中心に屋根瓦の落下や破損が多発し、改修用にガルテクトの受注が急増しているという。午前8時から午後10時までの稼働で増産に対応しており当面、7月までは臨時態勢を継続する。

同社の11年3月期の売上高は前の期比10%増の115億円、純利益が2%増の3億4800万円。12年3月期は売上高が10%増の127億円、純利益が6%減の3億2700万円を見込む。

16日の株主総会後の取締役会で服部達夫副社長執行役員(58)が社長に昇格し、金田直治社長(62)は相談役に就く人事を正式に決めた。

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7  子育て住宅、設計アイデアずらり100 高松の穴吹建設  2011/6/22 朝日新聞

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香川県高松市の穴吹建設が、子育てを経験した女性社員の意見を反映させた「子育て仕様」の自由設計住宅を発売した。5月からモデルハウス展示している。

子育てをキーワードに100点の設計項目を作り、さまざまな注文に応える。例えば、玄関から必ずリビングを通る間取り▽子ども向けスペースに落書き用のボードを設置▽食堂の一角に子ども用の勉強スペース▽幼児が浴槽に近付かないよう高い位置にドアロック▽親子で並んで歯磨きできるように大きめの洗面台――といった具合だ。

電気のスイッチは子どもが届きやすい高さ1メートル、コンセントは幼児の手が届かない高さ40センチと、きめ細かな設定もできる。

設計項目は、子育て中や子育てを終えた同社の女子社員15人が選んだ。その一人、設計課の吉井千惠子さん(48)は「必要を感じたときに加工する余地がある設計が大切です」。

問い合わせは、穴吹建設営業課(0120・384・084)へ。

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8  シャープとリクシルが共同出資会社 新製品を企画  2011/6/21 朝日新聞

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シャープと住生活グループ傘下の事業会社LIXIL(リクシル)は21日、それぞれが得意とする家電機器と建材を融合させた商品の企画を行う共同出資会社を設立すると発表した。

新会社は「エコ・ライフ・ソリューション」(本社・東京)。資本金は7千万円で、出資比率は各50%。当初の社員は約10人でリクシルが社長を出し、8月1日から事業を始める方向で準備している。企画した商品の製造や販売ルートについては今後詰めるという。

両社は4月に、住宅向けの太陽電池や発光ダイオード(LED)照明の開発・販売で提携することに基本合意。具体的な契約内容について交渉を進めていた。

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9  子育て応援マンション、埼玉県が認定 サービスなど評価  2011/6/19 朝日新聞

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子どもに配慮した設備や環境が整っている「子育て応援マンション」を認定する制度を、埼玉県が7月から始める。認定を受けたマンションは県ホームページで紹介され、販売広告などに認定マークを利用できるという。

県住宅課によると、ソフト、ハードの各項目を点数で評価し、一定以上の合計点を得たマンションを認定する。ソフトは、保育所・幼稚園との送迎サービスや、マンション内の子育て相談など。ハードは、広さ、安全性、防音対策など。広さでは、分譲で65平方メートル以上、賃貸で55平方メートル以上の世帯が、全戸数の半数以上を占めることが認定の最低条件になる。

同課によると、東京都墨田区や横浜市などに同様の制度があるが、都道府県が認定するのは初めて。「他の都県から子育て世代に住み替えてもらえるようPRしたい」としている。

新築、中古とも対象で、初年度は千戸の認定をめざす。申請の問い合わせは同課(電話048・830・5571)へ。

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10  地震保険の見直し「議論始めたい」損害保険協会長  2011/6/16 朝日新聞

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日本損害保険協会の鈴木久仁会長(あいおいニッセイ同和損害保険社長)は16日の記者会見で、地震保険の見直しを検討する考えを示した。東日本大震災を機に加入者から見直しを求める声が強まっているためだ。

鈴木会長は会見で、「今回の地震対応で気づいたことが様々ある。問題意識を整理し、議論を始めたい」と述べた。見直す課題として、契約限度額の引き上げ▽被害判定の基準をもっと細かく分けること▽補償対象に自動車を加えること、などを挙げた。

今の地震保険は火災保険に入らないと加入できない。契約金額も火災保険の30~50%に限られ、その上限も建物5千万円、家財1千万円となっている。被害は「全損」「半損」「一部損」の3段階で判定され、それぞれの程度に応じて保険金額が決まる。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.389  2011/6/16~2011/6/22 Vol.2
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【読売新聞】

11  住民交流、温める囲炉裏 セカンドハウス手作り

12  飛鳥に都市計画あった

13  自宅にバロック風しっくい装飾

14  エコな家にしませんか…石川

15  スマートシティで1.3兆円 日立、売上高目標に

16  リクシル、三洋ホームズ筆頭株主に

17  マンション管理会社、3割が「不適正管理」

【日経産業新聞】

18  5月の首都圏マンション発売、3カ月ぶりプラスも予測下回る

19  三井ホーム、収納充実させた賃貸住宅 経営支援も厚く

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11  住民交流、温める囲炉裏 セカンドハウス手作り  2011/6/22 読売新聞

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島根県西ノ島町美田、住宅街外れの海辺に立つ木造平屋の一軒家。船乗りだった川井昭二さん(66)が約10年前、大工の手を借りることなくセカンドハウスとして1年半かけて建て、「山月庵(あん)」と名付けた。

気の合う仲間と囲炉裏端で、気ままに――という長年の夢も、昨年12月に建てた木造平屋の別棟に実現。日夜、住民らが山海の幸や酒を持ち寄り、囲炉裏を囲んでにぎやかな宴(うたげ)を開いている。

川井さんは地元中学卒業後、エンジニアや機関長として外国航路の商船や巻き網船に乗り、ずっと「海の男」として過ごした。しかし、その時間は長すぎた。いつしか「陸(おか)にあがれば、仲間と囲炉裏を囲み、気ままに過ごしたい」と夢を描くようになった。

FRP製のモーターボートを手作りするなど、もともと手先は器用。退職を待たず、56歳でセカンドハウス建設を決意した。毎日、仕事を終え、帰港後の約3時間、所有する山林から木を切り出し、製材。建築場所も自宅近くの所有地に決め、棟上げなど人手が必要な時以外は黙々と一人で組み上げ、約1年半後に完成させた。

それが山月庵(約16平方メートル)。9年前に船を下りてからは、朝から晩まで過ごし、陸の生活を楽しむ。そんな暮らしに共感した仲間がいつしか集い、旬の山菜や魚介類などを肴(さかな)に杯を傾けるようになった。

「地域のために」と、子どもたちの蛍の観賞会や老人会、生け花展の会場などにも開放している。

3年前には30~70歳代の10人で「山月会」(会長=岡田昌平・元西ノ島町長)を結成。一緒に旬の味を楽しみ、医師や看護師、公務員らが島外から着任してくるたび山月庵で歓迎会を開き、もてなしている。

囲炉裏を備えた別棟(6平方メートル)は、工期約1か月を経て昨年12月に完成。宴を盛り上げる新たな交流の場として活用している。

岡田会長(69)は「仲間同士で囲炉裏を囲むと『昔はこうだった』『あの時はああだった』と思い出話に花が咲き、少年時代に戻ったよう。こういう所で老後を過ごせたらな」と話す。

「自分が楽しんでいれば、周囲も自然と楽しくなっていくのでは。海や野山に囲まれた環境に身を委ね、自然を愛しながら暮らしたい」と話す川井さん。2棟建てても「まだまだ物足りない」と言い、あずま屋や茶室、趣味の洋ランを飾る温室を……と、次なる挑戦に夢を膨らませている。(佐藤祐理)

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12  飛鳥に都市計画あった  2011/6/22 読売新聞

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「7世紀の飛鳥に都市計画は存在した」と語る黒崎さん(明日香村で) 7世紀の飛鳥(奈良県明日香村)に都市計画はあったのか? 半世紀近く論争が続いているこの問題について、「都市計画が複数存在した」とする説を、元奈良文化財研究所部長で、富山大名誉教授の黒崎直(ただし)さん(65)(生駒市)が著書「飛鳥の都市計画を解く」(四六判・247ページ、税込み2625円、同成社刊)にまとめた。わが国最初の本格寺院・飛鳥寺(明日香村)を基に都市計画が作られ、それが現代の街区の源流になったとしている。(関口和哉)

従来、日本の都市計画は、碁盤の目状の条坊道路を備えた橿原市などの藤原京(694~710年)に始まるとされてきた。だが、それ以前の飛鳥に、都市計画である「方格地割(ほうかくじわり)(方形の区画)」が存在したとの説を1970年、元県立橿原考古学研究所長の岸俊男さんが提唱。その有無について議論が続いている。

「狭い飛鳥に寺院や宮殿などを計画的に配置するには、全体を統一する規範・規制が存在したはずだ」と考えたのが、黒崎さんの研究の出発点になった。

注目したのが、588年創建の飛鳥寺。発掘調査の成果から、その伽藍(がらん)中軸線が、皇極朝(642~645年)の飛鳥板蓋(いたぶき)宮とされる時期の宮殿遺構の配置を規定し、それが「5分の1里(約106メートル)」の方格地割の基準寸法となって飛鳥全体に広がったとみる。

百済大寺とされる巨大寺院跡、吉備池廃寺(桜井市)は飛鳥寺の北北東約3・1キロに位置するが、この地割を基に施工されたとする。

さらに、この方格地割は、大規模な土木工事を進めた斉明朝(655~661年)に、「4分の1里(約132メートル)」の方格地割に改造され、川原寺や奥山廃寺など飛鳥にある古代寺院の立地を規定したと説く。

明日香村北部などでは、7世紀後半から整備が始まった藤原京の方格地割も重複し、飛鳥の都市計画の存在をわかりにくくしてきたという。

遺跡の調査から、これらの検証をした黒崎さんは「複数ある計画線が複雑に重なり、これまで都市計画の復元作業を妨げてきた。飛鳥の都市計画は明確に存在し、藤原京に先行する飛鳥京の具体的な姿が浮かんできた」と話している。

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13  自宅にバロック風しっくい装飾  2011/6/21 読売新聞

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現代建築に応用を 若手も育成

しっくいの魅力を現代の暮らしに――。鳥取県八頭町久能寺の左官、山根勝男さん(58)が、自宅の応接室の壁や天井に4年がかりで重厚なバロック風のしっくい装飾を完成させた。

土蔵造りなどを通じて受け継がれてきた鏝(こて)絵やなまこ壁といった左官の技は近年、再評価が進むが、建築様式の変化で活躍の場は減りつつある。「しっくいの表現力に今一度光を当てたい」。そんな一念で腕を振るった山根さん。この部屋をモデルに、若手に無償で技術を伝え、様々な用途を提案していくつもりだ。

10畳の応接室に足を踏み入れた瞬間、白しっくいの多様な浮き彫りに圧倒された。壁にはツタが左右対称に弧を描き、部屋の四隅では葉が舞い落ちんばかりの立体的な彫刻として浮かび上がる。

天井では、照明の周りが海をイメージした群青色のしっくいで塗られ、貝殻がちりばめられている。明かりを落とすと、マントルピースの細かな装飾も輪郭が際立ち、宝石を模した飾りが優しい光りを放つ。

自製した何百種類もの型枠にしっくいを流し、長さ1~十数センチのパーツを制作。下絵を写した壁や天井に一つ一つ取り付け、流麗な線はコテで仕上げた。

マントルピースも型やコテを駆使した無数の浮き彫りで飾られている(八頭町久能寺の山根さん宅で) 10代から左官一筋の山根さんが、洋風の装飾に出会ったのは30年前。鳥取に講習で訪れた兵庫・淡路島の左官久住章さん(63)からバロック風の浮き彫りを施した作例写真を見せられ「同じ左官の仕事か」と衝撃を受けた。

そのまま布団を車に積み込み、淡路島へついていった。その後約10年間、鳥取での仕事もこなしつつ、「カリスマ左官」と称される久住さん、門弟仲間と全国各地のホテルやコンサートホールの工事現場で働き、技やデザインを吸収した。

県内には伝統の技が息づく土蔵が多く残り、全国的にも注目されている。鮮やかな色遣いや立体感あふれる造形からフランスの画家アンリ・ルソーと並び称される八頭町の左官上田征治さん(72)も、山根さんの師匠の一人だ。

その一方、壁や内装を新しい建材で仕上げる住宅が増え、壁塗りの仕事はここ5年で半減した。山根さんは「しっくいは表現が自在で、化学物質による『シックハウス症候群』とも無縁な素材。土蔵や町家だけでなく、現代の様々な建築物に応用できる可能性を示したい」との思いを強めている。

バロック風の装飾は大きさにより工期は1週間程度、予算十数万円から。問い合わせは山根左官(0858・73・0726)。(上田貴夫)

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14  エコな家にしませんか…石川  2011/6/21 読売新聞

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国の補助制度追い風に 太陽光発電量「東京と遜色なし」

省エネ技術が凝縮されたエコハウス 地球温暖化防止への関心の高まりや、電力不足への懸念を受け、省エネと自家発電を組み合わせた「エコリフォーム」が全国的に注目を集めている。石川県内でも、国の補助制度「住宅エコポイント」を追い風に改修が徐々に進んでおり、県や家電量販店は普及促進のキャンペーンを展開している。(益田耕平)

県が昨年4月、約1億円をかけてオープンした「エコハウス」(金沢市鞍月)。初夏の陽光が、全面ガラス張りの窓から降り注ぐ中、室内は、心地よい温度に保たれていた。地中の空洞にたまっている冷たい空気が、パイプを通して室内に送り込まれ、間仕切りのない空間をゆったりと流れていく。窓ガラスは断熱効果のある2重構造、窓の外では、日差しを感知して自動的に伸縮するひさしが、直射日光をガードしてくれる。

屋根にはソーラーパネル、庭には小型風力発電機、至る所にエコが施されたモデルハウスには年間約1万2000人の見学者が訪れる。県は、快適さと地球への優しさをアピールし、エコ改修の普及を進める。

屋根と一体化した太陽光パネ 内閣府の報告書によると、県内で2010年3月~10月にエコポイントを利用して、リフォームした戸数の割合は1・36%で、富山(1・65%)に次いで全国2位だ。北陸のリフォームの大半は、結露や断熱対策としての2重窓の導入だ。年間を通して湿度が高い気象条件、費用が数万円台と手頃なこと、大手サッシメーカーが富山に製造拠点を置き、供給体制が整っていることなどが影響しているとみられる。

ただ、本格的な改修になると、値段が張るため、二の足を踏む消費者も多い。新技術として注目される地中からの送風パイプも、小型化が進む風力発電装置も、数十万円に上る値段がネックとなって、普及が進んでいない。

半世紀の歴史を持つ太陽光発電も、人気は今ひとつ。内閣府の報告書によると、2010年の太陽光発電の普及率は全国平均で1・52%、石川では0・67%だ。

県地球温暖化対策室は、その理由について、「設置に1軒当たり平均200万~300万円かかる上、北陸の曇り空のイメージが、足かせになっている」と分析する。

同対策室は、気象庁のデータで石川の夏(2010年6~8月)の日照時間が676・1時間と全国1位(都道府県庁所在地別)であることを指摘し、「年間を通しても、東京と比べて太陽光の発電量は遜色ない」として、県内に太陽光発電を根付かせる考えだ。

家電量販店も攻めの戦略を展開する。金沢市駅西新町のコジマNEW金沢駅西店は、5月末に太陽光パネルの販売コーナーを設けた。売り場担当者は「東日本大震災の影響で、電力不足の懸念が高まっている今こそ、太陽光発電普及のチャンス」と話している。

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15  スマートシティで1.3兆円 日立、売上高目標に  2011/6/17 読売新聞

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環境配慮の都市

日立製作所は16日、環境配慮型の都市開発「スマートシティ」関連の売上高について、2012年度までに10年度の2割増となる1・3兆円を目指すと発表した。

スマートシティは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーのほか、情報技術(IT)で電力を効率的に使う「スマートグリッド」(次世代電力網)などを活用した街づくりだ。中国やインドなど環境汚染が深刻な新興国で需要拡大が期待されている。

日立は、製造業とIT事業の両方を手がける点が強みで、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスといった海外の競合企業と争っている。

すでに、青森県六ヶ所村の実証実験のほか、中国の天津市や広州市などで、スマートシティ事業に参画している。

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16  リクシル、三洋ホームズ筆頭株主に  2011/6/17 読売新聞

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住宅設備大手のLIXIL(リクシル)グループが、中堅住宅メーカーの三洋ホームズ(大阪市)の株式を買収し、オリックスと並んで19・9%を保有する筆頭株主になったことが16日わかった。

三洋ホームズの筆頭株主は今月6日に、三洋電機から投資ファンドに替わったばかりだった。三洋電機がパナソニックの完全子会社になり、同じグループにある同業のパナホームとの重複を解消するため、三洋ホームズの株式を投資ファンドに売却したからだ。

パナソニックグループには、住設大手のパナソニック電工もある。三洋ホームズは三洋電機による株式売却から約1週間で、ライバル関係にあるリクシルと資本提携したことになる。

リクシルの副社長には三洋電機の創業者一族で元社長の井植敏雅氏が就いているが、「今回の資本提携とは関係ない」(関係者)としている。

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17  マンション管理会社、3割が「不適正管理」  2011/6/16 読売新聞

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マンション管理組合の修繕積立金や管理費について、全国のマンション管理会社の3割近くが、組合への定期的な収支報告を怠るなど、法令に基づく適正な管理をしていなかったことが、国土交通省の立ち入り検査の結果わかった。

同省は昨年10月から、約2400社の中から任意で選んだ138社を対象として検査を実施。管理会社はマンション管理適正化法に基づき、修繕積立金や管理費の収支について、組合に翌月末までに書面で出さなければならないが、このうち37社が期限内の提出などを怠っていた。

修繕積立金などを巡っては、管理会社社員などが横領するケースが相次いだため、管理方法を厳格化する改正規則が昨年5月に施行された。

これにより、管理会社は組合が積立金などを長期的に保管する口座の印鑑やキャッシュカードを扱えないようになったが、37社の中には、印鑑を持ち続けていた会社もあった。

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18  5月の首都圏マンション発売、3カ月ぶりプラスも予測下回る  2011/6/17 日経産業新聞

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不動産経済研究所が16日発表した5月の首都圏(1都3県)新規マンション発売戸数は、前年同月比3.6%増の3914戸となり、3カ月ぶりに前年実績を上回った。東日本大震災の影響で27%の減少となった4月に比べ改善したものの、同研究所の5月の予測(5500戸)には遠く及ばなかった。

震災で、本来ならば4月までに発売する物件が5月にずれ込んだことで販売の大幅な改善を見込んでいたが、大型連休以降の販売が、急激に落ち込んだという。

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19  三井ホーム、収納充実させた賃貸住宅 経営支援も厚く  2011/6/16 日経産業新聞

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三井ホームは15日、都市部向けに賃貸住宅の新商品を18日から販売すると発表した。30歳前後の単身者や共働き夫婦を意識して収納を充実させた内装を用意したほか、1階の住戸にはテラスなども提案。太陽光発電システムの搭載も可能にした。子会社が賃貸経営をサポートするシステムもそろえており、顧客となるアパートの経営者を獲得する狙いだ。

新たに発売したのは「プロパティ プライムコート・シティ」。1階、2階の上下で住戸を分ける「インテルノタイプ」と左右で住戸を分ける「メゾネットタイプ」の2タイプあり、間取りは1Kから2LDKにまで対応する。注文住宅で培ったデザイン性を生かして、外観も「スパニッシュ」や「モダン」など3パターン用意した。

2011-06-25 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed