住宅関連新聞記事ダイジェスト No.377  2011/3/24~2011/3/30

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.377  2011/3/24~2011/3/30 Vol.1
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【日本経済新聞】

1  14kmの下水道管が完全に閉そく、習志野市

2  ニチハは再開へ前進、アイジー工業は材料不足に

3  インフラなどの被害額は最大25兆円、内閣府が初の試算

4  中国・大連市で住宅と商業開発に参加、三井不動産レジデンシャル

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1  14kmの下水道管が完全に閉そく、習志野市  2011/3/30 日本経済新聞系

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東日本大震災で千葉県習志野市の下水道管が相次ぎ損傷。3月28日までに判明しただけで、管路が完全に閉そくした区間が約14kmに上るなど、約1万3000世帯に影響が及んでいる。同市は日常の上水道の使用量を目安に「100%規制」、「75%規制」、「50%規制」、「25%規制」の4段階の基準を地域ごとに設定し、下水道の使用の抑制を求めている。

習志野市都市整備部下水道課によれば、地震による地盤の液状化などで下水道が多数損傷した。マンホールに浮き上がりが生じた箇所で、継ぎ目から管内に泥水や土砂が流入。管が完全に閉そくしたり部分的に詰まるなどの障害が発生している。復旧を優先しているので被害状況は集計できていないが、完全に閉そくした下水道管の長さが合計で約14kmにも及ぶという。

マンホールの浮き上がりのほか、コンクリート管の破損なども発生した。管の浮き上がりも確認したが、鋳鉄管の破損は見つかっていない。

下流側から順次、復旧作業を進めている。管が破損した箇所では通常よりも浅い位置に仮管を埋設するなどして、早期の復旧を図る。完全に閉そくした箇所の復旧には、3カ月程度かかる見込みだ。

下水道の使用を「100%規制」している地域もあることから、同市は3月27日までに109基の仮設トイレを設置した。学校のトイレなども開放している。

千葉県では、浦安市でも下水道管が多数損傷。3月27日時点で市内の9地区で下水道の使用を制限している。同市も復旧作業を優先していることから、閉そくした箇所の管路延長などは集計できていない。3月28日時点で、近隣自治体の職員などが応援にきて調査などに当たっているという。

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2  ニチハは再開へ前進、アイジー工業は材料不足に  2011/3/29 日本経済新聞系

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旭トステム外装、ケイミュー、ニチハなど、大手の工場が被災して生産がストップしていた外装材メーカーだが、ようやく回復への光が見えてきた。ニチハは3月28日、同社のウェブサイトで、主要工場の状況などについて情報を公開。工場設備の点検を開始し再開に向かって動き出していることを明らかにした。

しかし懸念材料もまだまだ残っている。金属系サイディングメーカーのアイジー工業は29日、金属系サイディングの受注を一時的に停止することを発表した。原材料メーカーが被災していることが理由で、生産や出荷が困難になっているという。「アイジー断熱サイディング」の本体と関連部品すべて、および「モダンウッド」「断熱プレートi」を3月29日から4月3日までの期間限定で受注を停止する。

フル操業にはしばらく時間が必要

ニチハによると、いわき工場(福島県いわき市:窯業系外装材の「モエンエクセラード」を製造)と子会社である高萩ニチハの高萩工場(茨城県高萩市:窯業系外装材の「モエンエクセラード」「モエンサイディングW」を製造)の2拠点で3月22日から生産ライン設備の点検を開始した。

ニチハマテックスの習志野工場(千葉県習志野市:窯業系外装材の「モエンエクセラード」を製造)は3月15日から操業を再開している。しかし、東京電力が実施する計画停電などの影響で通常の操業に戻るまでには時間がかかる見込みだ。

金属系サイディングメーカーのチューオーは、若柳工場(宮城県栗原市)の再開に向けて準備を進めている。最終の量産テストを実施したあと、3月29日から操業を再開する予定だ。今後は燃料の調達や輸送体制の確立といった状況を見極める。フル生産、フル出荷の体制まで回復するには時間がかかる見通しという。

また、同社は、地震後に全ラインフル生産の体制をとっていた鹿沼工場(栃木県鹿沼市)と熊谷工場(埼玉県熊谷市)で、東京電力が実施する計画停電の影響が出ていることを明らかにした。3月下旬からは休日対応も含め、操業時間を大幅に変更して量産体制をとることを発表した。

全体として、被災した工場の体制が徐々に回復しつつあるが、各メーカーとも抱える問題も少なくない。窯業系、金属系の外装材市場とも、フル生産に戻るにはまだ時間がかかりそうだ。

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3  インフラなどの被害額は最大25兆円、内閣府が初の試算  2011/3/28 日本経済新聞系

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内閣府は3月23日、東日本大震災による社会資本の被害額やGDP(国内総生産)に与える影響などの分析結果を初めて公表した。社会資本と住宅、民間企業の設備の直接被害額は、被災地全体で最大約25兆円。このうち、津波の被害を大きく受けた岩手県と宮城県、福島県の3県だけで、約23兆円に及ぶと試算している。

試算の対象は北海道のほか、青森県と岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の6県。道路や港湾、空港、建築物、ガスや水道、都市公園などのストック額にそれぞれ損壊率を乗じて算出した。

このうち、岩手県と宮城県、福島県の3県を分離して試算した。さらに、この3県を津波の被害を受けた地域と受けなかった地域とに分けたうえで、津波の被害を受けた地域は被害に応じて2通りの被害額を算出した。

一つは、津波の被害を受けた地域の損壊率を阪神大震災の約2倍として試算した場合。北海道と6県の被害総額は合計で約16兆円に及び、このうち、岩手県など3県の被害総額は、約14兆円を占めるとみている。

もう一つは、この損壊率を基本に、津波による建築物への被害が特に大きいと考えた場合。岩手県など3県の被害額は約9兆円増えて23兆円になり、北海道と6県の被害総額は約25兆円に上ると試算した。

いずれの場合も北海道と青森県、茨城県、千葉県は震度に応じてそれぞれ損壊率を設定。岩手県など3県の中でも津波の被害がなかった地域は、阪神大震災と同程度の損壊率と仮定して試算した。

試算には、内閣府の2009年の「都道府県別経済財政モデル用データベース」を採用。ストック額は、岩手県など3県の合計が約70兆円、北海道と6県全体では約175兆円とそれぞれ推計している。

阪神大震災で被災した兵庫県の場合、被災当時の同県のストックの総額は約64兆円。このうち、約9.9兆円が同震災による被害額と兵庫県では推計している。岩手県など3県のストックの総額は兵庫県より1割ほど多いが、被害額の合計は最大で兵庫県の2倍以上に及ぶ見込みだ。

一方、フローとしてGDPに与える影響も試算している。例えば企業の設備が損害を受けたことによって生産が減少。年間のGDPが約1兆2500億円~2兆2500億円、減少するとみている。

GDPへの影響としては、計画停電などの電力供給の制約がもたらす影響も考えられるが、これらの被害は不確実性が高く、具体的な被害額の算出は困難だとしている。

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4  中国・大連市で住宅と商業開発に参加、三井不動産レジデンシャル  2011/3/28 日本経済新聞系

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三井不動産レジデンシャル(本社:中央区)は2011年3月、中国遼寧省大連市で分譲マンションと商業施設開発プロジェクトに参画することを発表した。同社が手がける事業の規模は、分譲マンションが1900戸、商業施設が4万7200m2となる。2014年10月に竣工する予定で、マンションは早ければ2011年秋ごろに販売を開始する。

開発プロジェクトは、大連市の経済開発区である大連ハイテクゾーン(大連高新技術産業園区)で進められる大規模複合開発「大連ソフトウェアパーク2期」の一部だ。三井不動産レジデンシャルは、エリア内にあるサイトAおよびCと呼ばれる二つの区画の開発に参画する。

大連ソフトウェアパーク2期は、大連の中心市街地の西方約15km、大連周水子国際空港から約20kmの場所にある。香港のデベロッパーである瑞安(シュイオン)グループと、大連で不動産開発などを手がける億達(イーダ)集団が開発している。約27万m2の土地に、住宅、オフィス、商業、研究施設など開発を進めている。総延べ床面積は約354万m2に及ぶ。エリア内には、IBMなどの欧米企業も進出している。

三井不動産レジデンシャルにとって、中国での住宅開発プロジェクトへの参画は、丸紅の出資する上海好世置業有限公司との共同事業である「好世皇馬苑(ハウスフォアンマーユエン)」、シンガポール政府系のSSTECとシンガポールの長成(チョンセン)グループとの共同事業「天津エコシティ」に次いで3番目となる。今後も、上海、北京などの主要都市や、天津、大連など発展が見込まれる都市において積極的に開発プロジェクトに参画していく。

開発名:大連ソフトウェアパーク2期

所在地:中華人民共和国遼寧省大連市高新技術産業園区内

全体面積:土地2700万m2、延べ床約354万m2

サイトAの面積:土地約31万m2、延べ床119万m2(住宅約54万m2、商業施設約39万m2、オフィスおよび教育施設など約26万m2)

サイトCの面積:土地約132万m2、延べ床177万m2(住宅約57万m2、商業施設約14万m2、オフィスおよび教育施設など約106万m2)

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.377  2011/3/24~2011/3/30 Vol.2
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【日本経済新聞】

5  回復急ぐ建材・設備メーカー、計画停電が悩み

【朝日新聞】

6  敷金から修繕費「高すぎなければ有効」最高裁判決

7  首都圏、新築戸建ての平均成約価格が3.4%上昇アットホーム

8  全域的に改善傾向 東京カンテイ、中古マンション価格天気図

9  2月・首都圏の賃貸住宅 6カ月連続で成約増加 アットホーム

10  TOTO ブラジル市場に本格参入 現地法人を設立

11  土地情報サイトリニューアルへ 国交省

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5  回復急ぐ建材・設備メーカー、計画停電が悩み  2011/3/24 日本経済新聞系

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東日本大震災の発生から約2週間。工場の一部損傷や、電気・水道といったインフラが途絶えたことで操業を停止していた建材・設備メーカーが、徐々に再開し始めている。めどが立たない工場もまだ少なくないが、各メーカーとも急ピッチで再開作業を進めている。

ただ、ようやく工場再開のめどが立ってきたものの、頭の痛い問題もある。供給する電力が不足していることから東京電力が実施している「計画停電」と、生産する製品の原材料や部品が供給元から入手できない「原料不足」だ。工場の設備に大きな被害がなくても、生産量に影響が出かねない。中には、住宅会社の希望日に合わせて納品できないことをウェブページで案内しているメーカーもある。ここでは、主な建材・設備メーカーがウェブで公開している情報をまとめた。

住宅会社としては、建材・設備の納品が遅れることなどを事前に顧客へ説明するなど、トラブルにならないための対処も必要だろう。

建材・設備メーカーの状況(2011年3月24日1:00時点)

メーカー名(分類) 情報更新日 状況 情報ページのURL

サッシ

YKK AP

3月17日 生産拠点の東北事業所(宮城県大崎市)および宮城工場(宮城県大衡村)において、建物などで一部損壊などの被害。生産設備の被害は確認中。東北事業所、宮城工場は安全が確保され、生産に関わるインフラが復旧するまで操業を停止。これに伴い、注文製品の生産・出荷遅れが発生している http://www.ykkap.co.jp/

トステム

3月22日 一関工場(岩手県)と下妻工場(茨城県)は操業を停止中 http://www.tostem.co.jp/

三協立山アルミ

3月15日 生産工場および設備については影響なし。生産は通常通り行っているが、一部震災の影響を受けており、状況を現在調査中 http://www.sankyotateyama-al.co.jp/

外装材

旭トステム外装

3月22日 鹿島工場(茨城県)の操業は停止中 http://www.tostem.co.jp/

ケイミュー

3月16日 小田原工場(神奈川県・屋根材)、鹿島工場(茨城県)・足利工場(群馬県)(外壁材)が停止中 http://www.kmew.co.jp/kinkyu/index.html

ニチハ

3月15日 いわき工場(福島県いわき市、窯業系外装材製造) と子会社の高萩ニチハの高萩工場(茨城県高萩市、窯業系外装材製造)およびチューオーの若柳工場(宮城県栗原市、金属系外装材製造)が操業停止中 http://www.nichiha.co.jp/

アイジー工業

3月16日 3月16日より寒河江工場(山形県寒河江市、金属サイディング製造)、東根工場(山形県東根市、ガルバルーフ製造)が操業開始。 水戸工場(茨城県城里町、「アイジーヴァンド」シリーズ製造) は操業停止中。製品出荷・原材料納入が物流機能の停滞により困難を極めている http://www.igkogyo.co.jp/

東邦シートフレーム

3月14日 八千代工場の設備・施設の一部に支障が出たが、大きな被害もなく操業中(計画停電の状況に応じて操業) http://www.toho-sf.co.jp/

アイカ工業

3月23日 福島第一原子力発電所の事故により福島工場(福島県岩瀬郡鏡石町)を停止、3月22日より復旧作業を開始。一部製品を除き3月24日から生産を再開。生産開始が遅れる製品も間もなく生産再開ができる予定だが、それまでの間、甚目寺工場(愛知県あま市)にて代替生産を継続する方針 http://www.aica.co.jp/

ビニールクロス

サンゲツ

3月17日 主要仕入先が被災。茨城県、千葉県のプラントの操業停止により、壁紙・床材など塩ビ製品の主原料である塩ビ樹脂、可塑剤といった石油精製品の確保にも影響が出ている。計画停電などの影響もある http://www.sangetsu.co.jp/

換気扇

富士工業

3月18日 白河工場(福島県)が停止中。相模原工場(神奈川県)にて一部機種のみ生産中 http://www.fjic.co.jp/

衛生陶器など

INAX

3月22日 3月22日から筑波工場(茨城県)の操業を再開 http://www.jsgc.co.jp/

TOTO

3月17日 TOTOウォシュレットテクノ 茨城工場(茨城県)は断水のため3月末まで停止予定。茅ヶ崎工場(神奈川県)、TOTOハイリビング茂原工場(千葉県)、TOTOバスクリエイト佐倉工場(千葉県)、TOTOプラテック勝浦工場(千葉県)は計画停電により、生産、出荷に影響を受ける恐れあり http://www.toto.co.jp/News/info_eq2011/index.htm

パナソニック電工

3月23日 郡山工場(福島県郡山市)が3月23日より生産を再開 http://panasonic.co.jp/index3.html

キッチン

クリナップ

3月14日 鹿島システム工場は、水道/物流などのインフラや部材供給取引先の復旧を待つ状態で操業停止。関連会社のクリナップ調理機工業の久ノ浜工場は、津波の影響により操業を停止 http://www.cleanup.co.jp/

ヤマハLT

日付なし 浜松本社工場でインフラや部材供給先の地震による影響で、一部商品に遅延が発生 http://www.yamaha-living.co.jp/

断熱材

旭ファイバーグラス

3月14日 ほぼ平常どおり生産を行っているが、計画停電のためカスタマーセンターへの問合せがつながらない時間がある。出荷体制については、当日出荷を当面見合わせ、翌日出荷体制としている。今後、計画停電が実施される場合は、一定時間生産を停止することがある http://www.afgc.co.jp/

マグ・イゾベール

3月23日 明野工場(茨城県)は、復旧に2カ月以上かかる見込み。土浦工場(茨城県) は、製造可能な一部の製品から製造開始予定。梱包機破損により、住宅用、内装用バット品は当面生産できない状況 http://www.isover.co.jp/

旭化成

日付なし 旭化成建材境工場・ネオマフォーム工場(茨城県)は操業を停止中、生産再開の時期は未定 http://www.asahi-kasei.co.jp/asahi/jp/

カネカ

3月14日 鹿島工場(茨城県神栖市)は停止中 http://www.kaneka.co.jp/

防水紙

田島ルーフィング

3月23日 工場の被害は軽微だが、原材料メーカーの多くが被害を受け納入がストップ状態。このため22日から受注業務を停止 http://www.tajima-roof.jp/

旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ

3月22日 サービスセンター(栃木県宇都宮市)の生産設備の影響は軽微。先週末より、代替工場及び倉庫からの出荷体制を整え対応。ネーム入れ印刷については、3月28日ごろから生産再開見込み http://tyvek.co.jp/construction/

フクビ化学工業

3月18日 生産設備・物流センターに支障なし。ただし、受注が急増した場合、製品によっては大口注文を制限する可能性がある http://www.fukuvi.co.jp/

石こうボード

チヨダウーテ

3月16日 工場・事務所・製造設備等に重大な被害なし http://www.chiyoda-ute.co.jp/

吉野石膏

3月15日 工場設備に大きな被害はないが、計画停電、水道および燃料不足などによる製造への影響などが懸念される http://yoshino-gypsum.com/

表の内容は2011年3月24日午前1時時点。各メーカーの状況は随時変わるので、最新の情報は各メーカーのウェブページで確認が必要

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6  敷金から修繕費「高すぎなければ有効」最高裁判決  2011/3/24 朝日新聞

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賃貸住宅の敷金(保証金)を返す際、修繕費として一定額を差し引くと定めた契約条項(敷引〈しきびき〉特約)は消費者契約法に反するか――。この点をめぐって家主と借り手が争っていた訴訟で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は24日、「不当に高額でなければ特約は有効」とする判決を言い渡した。

敷引特約は関西を中心とした商慣習。「消費者の利益を不当に害する契約は無効」と定める消費者契約法が2001年に施行された後、地高裁段階では特約を無効とする借り手側勝訴の判断が相次いでいた。今回の判決は、特約そのものは無効ではないと認めた最高裁の初判断で、同種訴訟に影響を与えそうだ。

争われたのは、06年8月~08年4月に京都市内のマンションの一室を借りた男性が、敷金40万円のうち特約で差し引かれた21万円の返還を家主に求めた裁判。家賃は月9万6千円だった。

第一小法廷は、通常の使用による修繕費まで借り手に負担させる敷引特約について、「消費者の義務を重くするものだが、修繕の必要性や金額をめぐるトラブルを防ぐ意味で不合理とは言えず、借り手の利益を一方的に害するものではない」と指摘し、一般的な有効性を認めた。

ただし、借り手側は修繕費に詳しくないことや家主側と交渉力に差があることを考慮し、「通常の修繕費、家賃額、礼金の有無などに照らして、差し引く額が高すぎる場合は無効になる」と述べ、額によっては違法となる余地は残した。

今回の事例については、差し引く額が賃借期間に応じて18万~34万円で家賃の2倍弱から3.5倍強にあたり、礼金の支払いもなかったとして「高すぎるとは言えない」と判断した。家賃の何倍なら不当に高額になるかという基準は示さなかった。

借り手側は「通常の使用によって生じる修繕費は家賃に含まれており、敷金から差し引けば二重の負担になる」と訴えたが、判決は「特約が成立している場合は、修繕費は家賃に含まれていないとみるべきだ」と退けた。

08年11月の一審・京都地裁、09年6月の二審・大阪高裁も特約を有効と認め、借り手側が敗訴していた。

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7  首都圏、新築戸建ての平均成約価格が3.4%上昇アットホーム  2011/3/29 朝日新聞

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アットホームはこのほど、2月の首都圏における新築戸建てや中古マンションの価格動向をまとめた。

それによると、新築戸建ての平均成約価格は、前年比3.4%上昇し、3158万円だった。東京23区で、比較的高額な物件の成約が堅調だったことなどが背景にあるという。また、23区が5カ月連続で上昇している一方、千葉県では6カ月連続の下落。「エリアによる違いが顕著」(アットホーム)という。

また、中古マンションの平均成約価格は、前年比1.1%上昇の2176万円。14カ月連続の前年比上昇となった。

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8  全域的に改善傾向 東京カンテイ、中古マンション価格天気図  2011/3/29 朝日新聞

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東京カンテイ(東京都品川区)はこのほど、47都道府県を対象にした2月の中古マンション価格天気図をまとめた。「晴れ」が10地域(前月比2地域増)、「薄日」が10地域(同1地域増)、「雨」が10地域(同5地域減)、「小雨」が13地域(同6地域増)。

前月から天気が改善したのは、北海道(1019万円、前月比0.6%上昇)、岩手県(1384万円、同0.3%上昇)、山形県(1119万円、同3.0%上昇)、岐阜県(1251万円、同2.8%上昇)、和歌山県(1157万円、同8.4%上昇)、福岡県(1338万円、同2.5%上昇)、宮崎県(1285万円、同1.2%上昇)など15地域に上った。

反対に悪化した地域は、福島県(1163万円、同4.1%下落)、奈良県(1174万円、同1.0%下落)、高知県(1328万円、同1.3%下落)、熊本県(1280万円、同0.2%下落)など。前月比では2地域減にとどまった。

秋田県(1318万円、同3.6%上昇)、茨城県(1381万円、同1.1%下落)、佐賀県(1257万円、同3.7%上昇)は「晴れ」で変動はないが、価格自体は強含んでおり上昇傾向にあると言える。

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9  2月・首都圏の賃貸住宅 6カ月連続で成約増加 アットホーム  2011/3/29 朝日新聞

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アットホームがまとめた首都圏(1都3県)・賃貸住宅市場動向によると、2月も成約数の増加が続いたことで成約増加は6カ月連続となった。成約件数は前年同期比7%増の2万5506件。成約の4割を占める東京23区内がシングル向け物件を中心に成約を伸ばしたほか、東京都下、埼玉県、千葉県でも増加率が2ケタを超えた。ただし4エリア共に増加率は縮小傾向に転じ、神奈川県は前年の反動で4カ月ぶりに減少した。

平均賃料は、マンション・アパート、新築・中古を問わず下落した。新築は2カ月連続で賃料が上昇していたが、需要がシングルに偏っているマンションの下落率が拡大したのが影響した。

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10  TOTO ブラジル市場に本格参入 現地法人を設立  2011/3/29 朝日新聞

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TOTOはこのほど、ブラジル市場に本格参入すると発表した。今後成長が期待される市場と見る。1月、現地に販売会社「TOTOブラジル」を設立した。市場参入の足掛かりとして3月25日まで開催されているブラジル最大の水まわり展示会に出展。販売チャネルや物流網の構築に取り組む。

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11  土地情報サイトリニューアルへ 国交省  2011/3/29 朝日新聞

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国土交通省は3月28日から、土地にかかわる制度や地価公示、土地関連統計などの土地に関する各種情報を一元的に収集・整備し、提供しているWEBサイト土地総合情報ライブラリーを、リニューアルオープンする。

リニューアルでは、デザインの変更のほか、情報の一覧性の向上やQ&A集・用語集の追加などを行っている。

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住宅関連新聞記事ダイジェスト No.377  2011/3/24~2011/3/30 Vol.3
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【読売新聞】

12  ガスボンベを再利用 被災地用まきストーブ

13  競売でも買い手ない秋田駅前の「ホテルハワイ」

14  オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増

【日経産業新聞】

15  知県と江南の9社、特産織物で家具22点

16  TOTOマテリア、岐阜の工場集約 年2億円のコスト削減

17  不動産各社、被災者に賃貸物件紹介 敷金や礼金不要の物件

18  2月の首都圏マンション発売、2カ月ぶり増 都心部がけん引

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12  ガスボンベを再利用 被災地用まきストーブ  2011/3/30 読売新聞

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長さ1メートルの廃材も燃やせる

家具・雑貨製作の「工房ジオ・パラダイス」(長野県小諸市)は、使われなくなったプロパンガスボンベを利用したまきストーブ「暖助(だんすけ)」を開発した。1メートルほどの長さの廃材をくべることができ、東日本巨大地震や県北部地震の被災地で使ってほしいと訴えている。

暖助は、横約1・3メートル、高さ約70センチ、重さ約40キロ。横にした廃プロパンガスボンベの内部で、廃材を燃やせるように加工したシンプルなまきストーブだが、30畳ほどの広さを暖めることができる。ボンベの上部に鉄板を取り付け、やかんでお湯を沸かしたり、フライパンで調理したりすることも可能。給湯カートリッジを内蔵しているため、ノズルで浴槽などと接続すれば、水を循環して温められる。

避難所で亡くなるお年寄りがいることを報道で知った同社の青野剛三代表(53)が、「被災者には暖房や、温かい食事が必要」と暖助の製作を決意。16日から取りかかり、20日に完成した。被災地で使いやすいように、長さ約1メートルの廃材でもくべられる大きさにした。

材料費や被災地への運搬費を含めた製作費は1台約5万円。東信地域を中心に16の個人や団体が、費用負担や材料調達、情報発信などで支援を表明している。26日午前までに3件の要望があり、今月末までに被災地に送りたい考えだ。

青野代表は「私には、ものづくりしかない。海風はまだまだ寒いでしょうし、少しでも被災者の力になれれば」と話している。同社は、小諸市や立科町に協力を要請しているほか、さらに支援者・団体を募っている。希望者には暖助の図面を提供する。問い合わせは同社(0267・26・5011)へ。

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13  競売でも買い手ない秋田駅前の「ホテルハワイ」  2011/3/30 読売新聞

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2年以上、手つかずのままになっている「ホテルハワイ駅前店」

秋田市千秋久保田町の「ホテルハワイ駅前店」(2009年閉鎖)の建物が所有者の破産により競売にかけられたものの、応札者が現れず、買い手が決まらないままになっている。

JR秋田駅前の千秋公園脇に位置する好立地だけに、不動産業者の注目度も高いが、老朽化などがネックになっているもようだ。周辺商業者などからは「再建か解体か、早く決まってほしい」との声が高まっている。

ホテルハワイ駅前店(約360室)は1972年に開業。主にビジネス客向けだったが、市内のホテル競争激化などの影響で、2009年の元日、系列2店とともに閉鎖された。所有会社(秋田市)は破産手続きに入り、駅前店の地上10~11階建ての2棟について、同年8月、秋田地裁で競売開始が決定された。

地裁の競売関係書類によると、2棟の建築年は72年と76年で、約40年間とされる経済的全耐用年数を迎えつつあり、老朽化も進んでいる。不動産評価額は計約7781万円。土地は千秋公園一帯の地主が所有しており、ホテルは地主側に地代を支払って営業していたが、地裁の調査に対し地主側は「土地の売買も可能」と説明したという。

入札は昨年3月から今年1月、3度にわたって行われたが、いずれも応札者が現れず、落札されなかった。このうち3度目の入札では、落札額の目安となる売却基準価格が、評価額の約4分の1の約1900万円まで下げられたが、応札者はいなかった。

3度の入札で落札者が決まらず、売却の見込みがない場合、地裁は競売手続きを停止できることになっており、土地の再活用に向けた同手続きが白紙に戻る可能性も出ている。

競売について、市内のある不動産業者は「超一等地で、関心は持っているが、ホテルとして再営業する場合は改装費や採算性が問題になるし、解体する場合も巨額の費用がかかるため、とても買おうという勇気は出ない」と明かす。

一方、付近の商業関係者は「観光地である千秋公園の目の前にいつまでも“廃虚”があると、市のイメージダウンにもつながる」と懸念を示し、「中心市街地活性化や千秋公園整備など街づくりとセットで考え、打開策を見つけていくべきだ」と語った。(佐藤直信)

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14  オール電化住宅、普及裏目…原発2基分の消費増  2011/3/23 読売新聞

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東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。

この3年間で戸数が倍増し、最大で原子力発電プラント2基分にあたる約200万キロ・ワット分の電力消費能力が増えた可能性がある。東電は、東日本巨大地震後、計画停電をせざるをえない状態で、オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。

東電によると、管内9都県のオール電化戸数は2002年3月末時点で1万3000戸だったのが、08年3月末に45万6000戸になった。10年末には85万5000戸に倍増した。「原子力は発電時に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化の防止につながる。省エネにもなる」とアピールし、電気料金の割引を適用してきたが、急速な普及策が裏目に出た形だ。

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15  知県と江南の9社、特産織物で家具22点  2011/3/28 日経産業新聞

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愛知県江南地域の織物製造・加工9社と愛知県産業技術研究所などが江南地域の特産品である織物を使って軽量のイスやクッションなどの家具を開発した。4月以降、開発に携わった企業がインターネットなどを通じて販売し、特産品の需要開拓につなげる。

開発したのはイスやベッド、間仕切りの「和風パーティション」など22点。イスやクッションは丈夫なウレタンを高級感のあるインテリア織物の生地で覆って作った。

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16  TOTOマテリア、岐阜の工場集約 年2億円のコスト削減  2011/3/25 日経産業新聞

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TOTO子会社で内装タイルや大型陶板などを製造するTOTOマテリア(岐阜県土岐市)は生産拠点を統合する。2012年4月1日までに御嵩工場(岐阜県御嵩町)を閉鎖し、土岐工場(土岐市)に機能を集約する。

間接部門の統合などにより、年間2億円のコスト削減効果を見込む。TOTOは2017年度までの長期計画「Vプラン2017」を掲げており、国内生産拠点の再編を進めている。

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17  不動産各社、被災者に賃貸物件紹介 敷金や礼金不要の物件  2011/3/24 日経産業新聞

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東日本大震災で住宅を失った被災者に物件を紹介する動きが不動産業者の間で広がっている。被災者の大半はまとまった現金を持っていないため、長期間にわたって避難所に滞在するケースが多いという。敷金や礼金、仲介手数料といった初期費用がかからない物件を中心にあっせんする。

レオパレス21は青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県から転居する人を対象に、敷金や礼金、鍵の交換費といった費用を無料で部屋を貸し出す。滞在期間が30~100日と短い利用者向けには一部の部屋の利用料金を半額にする。

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18  2月の首都圏マンション発売、2カ月ぶり増 都心部がけん引  2011/3/24 日経産業新聞

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不動産経済研究所(東京・新宿)が公表した2月のマンション市場動向によると、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)の新規発売戸数は前年同月比24.9%増の3468戸と2カ月ぶりに前年実績を上回った。地域別では東京都区部が40%増となるなど都心部で好調だったことが寄与した。

発売月に契約が決まった戸数の割合は84.8%と前月比11.5ポイント上昇。契約率が3カ月ぶりに80%を超えた。発売期間中にすべての住戸で契約が決まった割合も全体の13.8%を占めた。販売在庫も4725戸と前年同月から約1700戸減となり、低水準で推移。3月の発売戸数は約4200戸と前年同月より14%増えると予想している。

2011-04-09 | Posted in 住宅関連新聞記事Comments Closed